刑事物語2 りんごの詩 (1983年)

作品総合評価
少年の出番 半分未満(準主役の一人)
寸評 色々な作品の寄せ集め感はあるが面白い。
【少年映画でない理由】これは武田鉄矢さんの映画。
映画情報など 1983年公開。DVD発売中。
写真は玉野叔史君。


大学卒業してサラリーマンになったくらいの頃。公開時に映画館で鑑賞。武田鉄矢さんのハマり役の一つで面白かったのですが、なぜか本サイトでのレビューが遅れました。シリーズ第1作から40年を記念して2022年には日本映画専門chで全作一挙放送。(それ以前にWOWOWでも全作放送)

シリーズ5作の中では本作が興行収入では1番とのこと。準主役クラスで少年俳優も登場している唯一の作品ですので、嬉しい限りです。

ラストシーン。タケシと片山刑事が歩いていく。先にはタケシの母が待っている。
(母が逮捕されるとは、この時点でもタケシは知らなかった)

左遷?されて青森県の弘前署に赴任した片山刑事(武田鉄矢)はリンゴ係という閑職。しかし札幌の現金強奪事件の遺留品がリンゴの種。片山はタネを持って試験場へ。そこで担当の若い女性に一目惚れ。だが彼女は犯人たちに殺害された。一方、いじめられっ子の少年タケシ(玉野叔史)は片山に助けられた事から片山を慕う。

タケシと片山は神社で中国拳法のトレーニング。二人は父子のような関係に。ところがタケシの母(酒井和歌子)が実は札幌事件の犯人の一人だった。片山は犯人らと大格闘のうえ全員を逮捕。タケシの母も片山に自首する。抵抗するタケシを片山は張り倒す。強くならないと、愛する人はみんな去ってしまうんだぞ!


(これぞ昭和少年)

80年頃はジャッキー・チェンのカンフー映画が大人気。武田鉄矢さんもハマっており、本シリーズでは刑事なのにカンフーの使い手という設定。ヌンチャクの代りにハンガーを操るのも人気。プラ製ハンガーを渡したタケシに、ちが〜う! 木のヤツ!と叫ぶセリフも少し流行りました。

脚本は武田鉄矢さんが書かれたとの事。倉本聰さんや山田洋次さんの影響が大きく感じられます。出演者が被っているからかもしれませんけれど。特に倍賞千恵子さんが出てきた時など。タケシは『遥かなる山の呼び声』の吉岡秀隆さんの役回りのようにも思えます。

高倉健さんのような強い男に憧れる少年。映画だけでなく昭和の特撮番組にも必ず登場します。ウルトラマンシリーズや仮面ライダーにも。ただ本作の場合、憧れていた強い男が自分の母を逮捕します。少年にとっては裏切られたとの思いもあったのかもしれません。

「強くなれ。強くならないと愛する人はみんな去っていく」との話には私は共感出来ない部分もあります。「強い」の解釈ですけれど。本作では、肉体的に強い、喧嘩が強いみたいな印象もあって、これは違うだろうと思うのですが。まあそんな事はどうでもいいかもしれません。

少年俳優の玉野叔史君。ラストシーンでは武田鉄矢さんの手加減無しの暴力を受けたとの話が書かれていますが、本当に熱演でした。北国の青森なのに一人だけ短い半ズボンが大変カッコよく見えました。これぞ本当の昭和少年。

またイジメにあっていたタケシ。
それをみていた片山刑事はそっと助ける。
カンフーの練習をする片山刑事をそっと見る。
タケシはこの神社で一緒に練習を始めた。


片山刑事と一緒に練習を続けいくうちに、
タケシもたくましくなってきた。
片山さん僕の家に来てよ。タケシの家は喫茶店。
片山刑事の膝まくらで寝てしまった。


強盗犯人が襲撃。片山へハンガーを投げるが...
ピンクのプラスチック製では武器にならない。
母はタケシの横で手錠をかけられた。
(酒井和歌子さん。美人ですねぇ)




※後記
40年近く前。鑑賞した映画館は結構混んでいました。隣に若い女性の二人連れ。今の傍若無人な女性と違って、田舎からポッと出てきたばかりの素朴な声でおしゃべりをします。今ならマナー違反ですけれど。
武田鉄矢さんが歯を磨いて口をすすぐのは1回きり。女性たちは「いやぁ1回しかすすがへんの?」これ今では常識とのこと。私は心ゆくまで何回でもすすいでました。有名なお風呂のシーンでは、タケシ少年をみて「うわぁ〜」と感嘆の声。こんな素朴なおしゃべりなら、微笑ましいばかりで全く気にはなりません。





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