N号棟 (2021年)

作品総合評価 B-
少年の出番 10分未満。
寸評 廃団地のホラーは興味深いが、主人公の女子大生が徹底的にダメ。【少年映画でない理由】出番過少。
映画情報など 2021年劇場公開。DVD発売中。
写真は幽霊少年役の神尾優典君。


岐阜県にある幽霊が出るという団地。これを脚色して製作されたホラー映画。ストーリーや雰囲気は非常にいいのですが、主人公の女子大生にどうしても感情移入が出来ませんでした。普通にリメイクすれば面白い作品になるかもしれません。

廃墟のように荒廃した団地の屋上。少年と母親は笑顔で迎えてくれた。

主人公の女子大生(萩原みのり)は極端に死を恐れている。しかし幽霊の存在は徹底的に信じない。元カレの大学生が卒業制作のため、幽霊が出るという団地で撮影を行うと聞いて強引に参加。団地の入口で不思議な老人に止められた。ここは居住者がいるので帰ってくれ。しかし人が住めるとは思えないほど荒廃。

咄嗟に自分たちも入居したいと嘘を言うと、喜んで団地内を案内してくれた。住人たちがいた。倫太郎(神尾優典)という少年と母は喜んで歓迎会をしてくれる。しかし様子がおかしい。倫太郎は飛び降り自殺。屋上には幽霊が集結。元カレたちは幽霊に洗脳。それでも女子大生は信じないが、やがて幽霊たちに襲われてしまい...


主人公の女子大生ですが、危篤状態で入院している母もいて、死を極端に恐れるのは精神的な病気なんでしょう。しかしとにかくわがまま。自分の考えに固執するのも病気なのかもしれませんが、わがままを通り越して暴力的にさえなっていきます。

元カレが行く予定の団地をgoogle earth のような航空写真で確認すると、屋上に異様な大勢の人間がいるのを発見。それで強引に参加。しかし幽霊が幽霊である証拠を見せつけられても拒否して信じません。見ている自分からすれば、もうこの女子大生早く死んでくれ!とイライラし通し(あくまで個人の感想)

母と2人で暮らす少年。少年が登場すると何だかホッとします。しかし次第におかしな言行。父さんがそこにいる! しかし誰もいない。ところが元カレが撮影するビデオモニターには男が。そしていきなり手すりを乗り越えて、団地の下に飛び降り。彼はこんな風に死んだのでしょうか。

その後はオカルト教団の儀式のような展開。死んだ少年と母が宙に浮いていたり。もう少し神尾優典君の出番があれば良かったのですが。

倫太郎少年の部屋に入れてもらった。
撮影するのが元カレ。しかし異様な空気が...
団地の廊下の端を指さす倫太郎少年。
何も見えないが、カメラには写っていた。


いきなり手すりを乗り越えて飛び降りる。
倫太郎はこうやって死んだのか?
倫太郎少年の死体にナイフを立てる。
これは何かの儀式なのだろうか。


夜中の団地。死んだ少年と母親が宙に浮いている。


※後記
高度成長期に各地で団地が建設されました。建物の老朽化、居住者の高齢化などで、団地は消えつつあります。高層建築に建替えたらいいのですが、地権者などの関係で無理なケースも多々。そんな団地をテーマにした映画も多々。そのものズバリ『団地』(2015)、是枝作品『海よりもまだ深く』(2016)、アニメの『雨を告げる漂流団地』(2022)では団地そのものが少年の姿になって登場します。本作もその一つなんでしょうけれど。

高層団地といえば転落事故や自殺も。30年以上前でしょうか。何かのドキュメンタリーで、東京の高島平かどこかの団地で、子供が誤って転落。母親が救急に電話をかけた声の録音が放送されました。母親は動転して、ア、ア、アと何を言っているのか聞き取れません。その声に身体中に寒気が走りました。どんなホラーよりも怖く、そして悲しかった。もちろん今ではこんなの放送できません。たぶん。





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