天使の詩 (1966年)

製作年・国 1966年・イタリア
少年映画評価
お薦めポイント 少年が死んでいくお話は辛いのですが...
映画情報など DVD/BD発売中。
写真は兄役のステファノ・コラグランデ君。


本作品はTVでずっと前に見ました。その時は大感動だったのですが、今回レビューのためにDVDで再鑑賞すると、少し違った印象もありました。純真さを失ったクソオヤジになってしまったなあ...

1966年製作ですが、当時の少女漫画家に大きな影響を与えたのではと(勝手に)思っています。妹の持っていた少女マンガに本作を焼き直した(パクった)ような漫画がいくつかあったように記憶しています。

亡き母の声を録音したテープを誤って消すという場面は色々な作品で使われています。本サイト客員のノースエンド先生が本作のレビューで書いておられるますが「お父さんのバックドロップ」では神木隆之介君が母の(テープではなく)ビデオを消してしまう場面。これは多分本作を念頭に置いたものでしょう。

弟ミーロが兄アンドレアにキスをする。しかし兄が目覚める事はなかった...
♪最後のキスは〜タバコのflavorが...(なぜか宇多田ヒカルさんの First Love が...)

8歳のアンドレア(ステファノ・コラグランデ)と4歳のミーロ(S.ジャンノッツィ)の兄弟が主人公。父はフィレンツェ在住の英国総領事。そして母は亡くなったばかりだ。父は幼いミーロを気遣って母の死を隠す。兄のアンドレアには真実を告げる。長男としてしっかりして欲しかったのだ。

しかしアンドレアとて8歳。まだまだ両親の愛に飢えている。父の思いとのすれ違いが続く。アンドレアは弟ミーロを愛しているが、父はミーロが母の死を知ったのはアンドレアのせいだと誤解。次第にアンドレアに対して厳しくなっていく。そんな時、父の叔父が家にやってきた。叔父は子供嫌いを公言していたが...

叔父はアンドレアの悩みを見抜く。父に彼とコミュケーションを取るよう助言。父はアンドレアを職場に連れていくなど2人の関係は改善したかにみえた。しかし弟のちょっとしたワガママで父の信頼がまた崩れてしまった。失意のアンドレアは度胸試しの木から池に落ちて重体。父が必死に看病する中、母の下へと旅立った...

 本当に天使なのか、それとも悪魔の子ダミアンなのか。

父は(母は)、弟(兄)ばかり可愛がって...という嫉妬心は色んなストーリーの基本でしょうか。有名な米映画「エデンの東」など。もちろん女性の場合も同じ(私なんか...という嫉妬心が原動力のシンデレラ願望)

昔見た時は、理解のない父親に怒りを覚えたものでした。そして2人の兄弟は本当に天使だと。しかし...心が汚れてしまったのでしょうか。今見ると2人の兄弟は美少年ですが、とても天使には見えないのです。

やはり欧米では子供の頃から自己主張が強い。今風のワードでいえば自分ファースト。弟のミーロは天使のように可愛いいのですが、結果的には兄のアンドレアを死に追いやってしまった悪魔の子かもしれません。悪意は全くなく純真なだけに却って恐ろしい。

兄アンドレアも天使ではありません。いくら自分が幼くても"父はどう思うだろうか"など他人への思いやりが不足。また家政婦や看護師に対する不遜な態度も気になります。(日本の仏教では幼くして夭折した子供には罰を与えられるのですよ。両親を悲しませたと。賽の河原で石を積んで...)

何だかんだとゴタクを書いてしまいました。でも結論的には本作は名作に違いありません。少年映画ファンで、まだ見ておられない方は是非ともご覧になって下さい(ピアノのバイエルと同じような位置付けの作品)

母が亡くなったと聞かされたアンドレア
(うすうす知っていた...)
柔道教室で試合。父は見に来てくれたのだが。
逆転負け。後でウジウジと言い訳するアンドレア...


弟ミーロ。アンドレアは弟が好きだった。
弟の優しい笑顔には亡き母の面影があったからだ。
誤って母のテープを消去。焼け酒を飲んだアンドレア。
叔父が介抱。叔父さんはよき理解者だった。


父とローマへ行く日。学校から飛んで帰ってきたが...
(英国のパブリックスクール風の制服ですな)
しかし父はまた誤解。1人でローマへ行った。
失意まま、度胸試しの木の枝の先の方へいくが...


枝が折れて池へ落下。背骨骨折で重体に。
パパはミーロだけを愛しているんでしょ...
父と息子はやっと判り合えた。でもその時は...
アンドレアは父の愛を受け入れながら母のもとへ...



※後記
今回も誤解していたことが。アンドレア、ミーロなんてイタリア人の名前。でも父が在イタリア英国総領事という事は、2人は英国人なんですよね。まあどっちでも構いませんけれど。





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