メリーゴーランド (1974年)
製作年・国 |
1974・イタリア |
少年映画評価 |
B+ |
お薦めポイント |
いつもすれ違いだった最愛の父。その腕に抱かれて... |
映画情報など |
74年国内公開。今でもBD/DVD発売中。 写真はレナード・チェスティ君。 |
10歳の少年ルカ(レナード・チェスティ)の父は弁護士で多忙を極めている。母は亡くなった。ルカの相手をしてくれるのは父の秘書とガールフレンド。まだまだ父に甘えたい年頃。夏休みは父と海へバカンス。そこには父が再婚を考えている女性も一緒。へそを曲げたルカだったが、女性の誠実さを知り、彼女を受け入れた。
今度は山でスキーの最中にルカは倒れた。検査の結果、白血病だった。次第に体力が落ちていくルカ。父への最後のお願い。遊園地へ連れてって。今すぐ。父は深夜で閉園した遊園地に無理を言って開けて貰い、ルカと2人だけの時間を過ごす。最後はメリーゴーランドに乗って父の腕の中で眠るように行ってしまった...
70年代は本作のような少年映画が数多く作られました。日本の映画雑誌や女性雑誌でも数多く取り上げられ、少年スターがグラビアを飾ったそうです。本作のレナード・チェスティ君、英国のマーク・レスター君など。なぜか日本人少年俳優は見向きもされなかったのが残念ですけれど。
少年が不治の病にかかり、仕事一辺倒だった父親はそれを反省して息子との最後の時を過ごす。こんな物語が定番でした。ウィリアム・ホールデンの『クリスマス・ツリー』(69年)がそうでしたし、日本でも『君は海を見たか』(71年)などは全く同じストーリーといって過言ではありません。
でも映画に出てくる父親はエリートでお金持ちばかり。なので息子の最後の時も贅沢に過ごせます。こう考えるとあまり涙も出てきません。貧しい家庭の少年が不治の病にかかり、父親は何もしてやれない。ただ愛情だけ...そんなシチュエーションの作品があれば涙腺崩壊。
この時代。急速に経済発展した日本を意識したようなセリフもありました。主人公のルカは「休暇は日本へ旅行するんだ」などと友人に触れ回ります。日本で空手を習うんだそうです。もしかしたら映画キャンペーンで本当に日本へ来たのかもしれません。
最愛の父なのに...いつも感情がすれ違う。
(父は息子のためにも再婚を考えていた)
スキー場で倒れた。気がつくと病院にいた。
(白血病。当時は不治の病だった)
息子は父に最後のお願いをした。
遊園地へ連れて行って。2人だけで...
やがて最後の時が来た。父の腕の中で。
最後の言葉は「パパごめんなさい」
(なぜ死にゆく少年が謝るんだ?....涙)
※後記
映画冒頭。ルカが死んだ後、ルカが父親にプレゼントしてくれたレコードをかけるシーン。その曲が映画全編にわたって流れます。曲の事はよく知りませんが、曲の出だしが、日本の「小さい秋見つけた」の前奏と同じメロディ。これも日本趣味なのかと思っていました。関係は無さそうですけれど。