フランスの友だち (1989年)

製作年・国 1989年・フランス
少年映画評価
お薦めポイント 少女の服を着た美少年
映画情報など DVD等国内未発売。(フランスでは発売中)
写真は主役のアントワーヌ・ユベール君


第2次大戦末期、連合軍による解放直前のフランスのある村。主人公の少年(アントワーヌ・ユベール)は、村の楽隊に所属し、アメリカ軍を迎える準備中だった。しかし少年は敗走中のドイツ軍を米軍と間違え、村中に触れて回った。歓喜する村人にドイツ軍の銃が火を吹く。大変な事になった!

少年は弟と2人で激怒する村人から逃げ出し、実の父のいる町へ向かう。追手を避けるため、途中で干してあった洗濯物の中から、青いワンピースを着て女装する(これが妙に似合って色っぽい)。しかし2人はギックリ腰で動けなくなったドイツの落伍兵に捕まってしまった。

少年は医者を探せと命令されるが見つからず、代りにある老婆の家へドイツ兵を運ぶ。老婆の伝統治療?でギックリ腰が治ってしまったドイツ兵だが、2人の兄弟との間に友情(というより親子のような感情)が芽生えてしまった。ドイツ兵は戦場を放棄し、3人でどこかへ行こうと放浪を始める。

ある無人の村に入った3人。一軒の家に入り込み3人で食卓を囲むなど、束の間の幸せな時間を過ごす。しかし悲劇は終わらなかった。村の教会で悲惨な光景を目にしてしまった。村人は全員教会に詰め込まれて虐殺されていたのだ。思わず天を仰ぐドイツ兵。これが同胞ドイツ軍の仕業なのか!

そこへ米軍が進駐し教会の惨状を目にする。ドイツ兵は少年達を置いて米軍の前に進み出る。「これは俺がやったのだ」彼は、血相を変えた米兵達に処刑されてしまった。2人の兄弟の目の前で。


本当に健康的な肢体と笑顔。でも結末は悲劇。(本国フランス版DVDより)
 所感など

2,3行でストーリーを書こうと思ったのですが、つい力が入ってしまいました。もう20年前の映画なのに今でも印象に残っています。当時、映画館で3回は鑑賞しました。少年映画としても、また戦争の悲劇を描いた映画としても素晴らしい作品でした(あくまで私にとってですが)

主演少年を演じたアントワーヌ・ユベール君は、監督ジャン・ルー・ユベール氏の実の息子です。弟役のジュリアンも息子だそうです。日本人なら実の息子の女装姿など、面映くて撮れないような気がするのですが、ユベール監督はお構いなしに、息子の魅力をスクリーンに残しています。(この作品の2年前にも「フランスの思い出」という作品で息子を撮っています。)

ドイツ兵は、独仏国境アルザス地方出身(教科書に「最後の授業」という話がありましたね)との設定で、戦争の無意味さと、ドイツ兵としてのプライドに揺れる心情を素晴らしい演技で表現していました。また少年達も実は異父兄弟であり、お互いに反目していましたが、この悲劇を通して、本当の兄弟になっていく様子が非常に感動的でした。

この映画を語るとキリがありませんので、この位にします。フランス映画は本当に少年映画の宝庫です。しかしこの作品はDVDやビデオ化されておらず、せっかくここで紹介したものの、皆様が観る機会が無いことが残念でなりません。どこかで放送されておりましたら、是非観て下さい。

フランス版DVDのパッケージから
 補足 フランスからDVDを取り寄せました。

どうしても本作品をもう一度見たくて、本作品の原題(APRES LA GUERRE)をAmazonで検索するとあるではありませんか。

でも日本のAmazonアカウントでは注文が出来ません。フランス語の知識は皆無ですが、ネット翻訳を活用してフランスのAmazonアカウントを取り、購入ボタンをクリック。10日くらいで手元に届いた時は驚きました。

DVDのリージョンコードも違うし、PAL(日本ではNTSC)ですが、PCでの視聴は全く問題ありませんでした。でもフランス語なんでチンプンカンプン。英語字幕もありません。

ただ日本公開時に劇場で3回も観ましたので、内容は全く問題なし。私にとって、それくらい気に入った作品なんです。今度はブルーレイで観たいなんて贅沢ですか。フランス語が出来る方でしたら、是非フランスから取り寄せて鑑賞して下さい。

女装して逃亡中。村人に遭遇。
(この直前に立小便を見られて)
(女の子が立小便とは世も末だ)





▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼外国作品庫へ戻る