空を歩く少年 (2008年)

製作年・国 2008年・韓国
少年映画評価 A+
お薦めポイント どうして少年は自ら天に召される事を望んだのか
映画情報など 2010年国内公開、DVD発売済み
写真はカン・サン君。


2010年3月14日、ポレポレ東中野(東京)にて鑑賞。

この日は、TOKYO FM少年合唱団の定期演奏会の素晴らしい歌声の感動に浸りながら、そのまま惰性で東中野へ。(第一生命ホールのある、勝どきから東中野まで都営大江戸線1本ですが、駅数が多くて退屈でした。)

昼頃に一度映画館に行き、18:30からのチケットを買い、整理券を貰いました(整理番号No.8)。なので焦ることなく東中野駅下の「富士ソバ」で軽く天ぷら蕎麦を食べて映画館へ。いつもの最前列A5の席を確保。

バイク便のアルバイトをする女性に依頼があった。配達物はなんと8歳の少年(カン・サン)で、結婚式場の新郎の男性へ届けろとの事。少年をバイクに乗せて式場へ向かったが、男性は受け取りを拒否。今度は逆に男性が、バイク便にこの少年の配達を依頼。どこでもいいから俺の所以外へ届けろ!

とんでもない依頼だったが、女性は少年を乗せてバイクを走らせる。行く宛は無い。なんともいえないロードムービーの始まりでした。


 これは、凄い、本当に凄い映画でした

実のところ、あまり映画には期待していませんでした。再婚した父と反目する富豪の娘が、バイトで配達?を頼まれた8歳の少年と、ひょんな事から交流して旅に出る、ありふれたロードムービーものかと。この8歳の少年。よくあるような両親の離婚で捨てられた子供だと思っていました。

でも、徐々に彼の秘密が明らかになってきます。その小さな、小さな肩に背負っているもの。それが判ったとき、富豪の娘も、観客も唖然とします。このレビューでは、これ以上書きませんが、ある意味、衝撃を受ける映画でした。ソ連の巨匠タルコフスキー監督の晩年の名作『ノスタルジア』を思い出しました。

ノスタルジアでは、監督の分身である作家が、余命僅かの中で、神とは、死とは、旅をしながら苦悩する訳ですが、この映画では僅か8歳の少年が、同じ苦悩をかかえているように思えます。

少年を演じたのは、カン・サン君。特に美形という訳ではありませんが、日本人にもなじみ易い、凛々しい少年でした。生まれて一度も見たことのない父母を慕い、夜の床でそっと「おしゃぶり」を吸って泣く姿には、本当に涙が出ました。セリフが棒読みかどうかは、韓国語のため判断できませんが、表情などの演技は立派だと思います。

少し残念だったのが、字幕が少なく、よくニュアンスが判らない場面も多々あった事です。韓国語が判ればいいのでしょうが、それは無理なので、4月に大阪でも上映されるので、もう1回見てこようかと考えています。

少し、過大評価してしまったかもしれません。作為的すぎる演出もありましたので、人によっては、鼻につくかもしれません。でも私にとって、もしこれが日本映画だったら、青輝賞作品賞の有力候補になったと思います。皆様、機会があれば見て下さい。

バイク便の後ろに乗る少年。これからどこへ
お姉さん元気でね。涙、涙の別れ



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