ぼくのエリ 200歳の少女 (2008年)

製作年・国 2008年・スウェーデン
少年映画評価
お薦めポイント 北欧の美しい風景と凄惨な吸血鬼。少年が美しい。
映画情報など 2010年国内公開、DVD発売済み
写真はカーレ・ヘーデブラント君。


2010年8月22日、テアトル梅田(大阪)にて鑑賞。

東京から遅れること1ヶ月余り、ようやく大阪でも公開です。前日は名古屋泊りでしたが10:20にはテアトル梅田に到着、初回12:00からの指定席を取ることができました。この日の時点で、名古屋以西の西日本で上映しているのは、ここ1館だけ。しかもたった60席。やはり満席でした。

舞台は北欧スウェーデン。母子家庭のいじめられっ子オスカー(カーレ・ヘーデブラント)の隣に引っ越してきた不思議な男と少女。オスカーは少女と友だちになるが、どうもおかしい。夜しか会えない。オスカーは学校でイジメに会っている。その悪ガキどもを少女は惨殺してくれた。

実は、この少女は何年も前から生き続ける吸血鬼だった。しかも秘密はそれだけでなく、少女は実は女性でもなかった。(結構ネタバレしましたが、もう有名な映画ですし、いいでしょう。)


 所感など

少年と少女の淡いラブストーリー?いやいや、そんな甘い話ではなく、どんどんと凄惨な方向へと進んでいきます。ホラー映画のような怖さでは決してありません。人間はなぜ苦しみながら生き続けるのだろう?本当に救いのない、やるせなさのような気分。そんな怖さです。

実は映画が、なかなか公開されないものですから、原作小説「MORSE」を購入し読んでおりました。スウェーデンというのは高福祉の豊かな国で、私にとって憧れの国の一つだったのですが、この小説を読んで、そのイメージが崩れ落ちるようなショックでした。時代は1982年とはいえ、イジメ、貧困、退廃、小児愛、何の希望も見えない暗さ、etc

現実的に考えれば、いずこの国でも人間が生活している限り、光の部分もあれば闇の部分もある訳で、スウェーデンでも、南太平洋の楽園でも、幸福の国ブータンでも、同じようなものだろうと思います。

さて映画の話ですが、主役を演じたカーレ君。金髪で色白、北欧の典型的な少年なんでしょうか。極寒の地なのに、最初登場した時の姿はブリーフ1枚です。それ以降もプールや体育の授業など、肌の露出シーンが多いのが気になります。北欧の人々は、寒くて日照時間が少ないゆえ、肌が露出できるような環境に憧れているのかもしれません。

吸血少女エリ(リーナ・レアンデションさん)と二人ベッドの中で全裸で寝ているシーン、カーレ君の肌の白さが非常に艶かしい感じです。それにしても、12歳の少年少女のこんなシーン、日本では無理でしょう。そういえば、スウェーデンや北欧といえば、かつては「ポルノ大国」でしたね。

イジメにあうオスカー。学校では孤独
スポーツもやっているんですが


最後に、いわずもがなですが。ネットでも話題になっていますし、パンフレットにも書いてありますが、吸血鬼少女エリは、本当は少女ではなく、200年前に去勢された少年であること。日本公開に当たっては、このままでは公開できないため「200歳の少女」ということに変更したようです。

この事に関して特に文句はありません。原作小説を読めば判ることですし。それよりも、なぜ上映館がこんなに少ないの?この映画もそうですし、映画「ザ・ロード」なんかも。全国のシネコンで上映しているクダらない洋画(すみません、私感です)を配給するくらいなら、その3分の1の規模でもいいので配給して欲しい。洋画でも少年俳優の出る作品は興行価値が無いと判断されたのなら寂しいですけれど。




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