100歳の少年と12通の手紙 (2009年)

製作年・国 2009年・フランス/ベルギー/カナダ
少年映画評価 A+
お薦めポイント 難病に冒された少年と中年女性の明るい交流。
映画情報など 2010年国内公開、DVD発売済み
写真はアミール君。


2010年11月13日、シネ・リーブル梅田(大阪)にて鑑賞。

この日、2本目の鑑賞です。シネ・リーブル梅田は、梅田ガーデンシネマの下の階にあり、同じ構造の映画館ですので、天井が低いため、最前列に座らないといけませんが、何と言っても整理番号No.1「どうじゃ、このご紋が目に入らぬか、はっはっは」と余裕しゃくしゃくでした。

しかし「ご紋」の威力も、このガラガラの映画館では、虚しいものがありました。こんなにいい映画なのに、もっともっと観て欲しい。西日本で上映しているのは、ここだけなのに。(観れない地方の方々には、申し訳なく思ったりしました。)

ストーリーはシンプルなもの。白血病で余命僅かな少年(アミール)と、見ず知らずのオバさんとの心の交流。これだけ聞くと、コケの生えたようなワンパターンの話に思えるかもしれません。でも、違うんです。本当に100年の人生を、100分程の上映時間で過ごしたような。最後は「私もこれで神の下へ行っていいかな」なんて気分に。そんな珠玉の一篇でした。

ストーリーになってませんね。少年の家にやってきたピザ配達の女性。彼女は決して天使ではなく、がさつな女だったが、10歳の少年に、1日で10年を過ごせば、10日で100歳まで生きられるじゃないか、とハッパをかける。そして少年はその通りに生き、その通りに亡くなった。


 所感など

フランス男の典型的な人生。15歳で恋をして、20歳で結婚、30歳で浮気や遊びまわり、40歳でそのツケを払い、50歳で妻の大切さを知り、そして最後は許され、神の下へ召されていく。

たった10歳の少年が、その汚れない瞳のままで、10日間の人生を歩んでいく。わざとらしい脚本だと知りつつも、どうしても涙を抑えられませんでした。とはいえ、日本のウェットな「お涙頂戴モノ」ではなく、そこはフランス映画、ラテンの陽気な血が流れています。

それはピザ屋のローズおばさん。目は釣りあがり、口から出る言葉はののしりだけ。典型的な関西人タイプのいけ好かないババあ?でした。アミール君に対しても憎まれ口は止まりません。ローズおばさんは、元女子プロレスラーだと言い、ごちゃごちゃ言ってるとぶっ飛ばすよ!とアミールにハッパをかけます。

そして空想、妄想の話をしてあげます。その話がCGや映像で再現されているのですが、これが荒唐無稽で面白い。女子プロレスといっても、サーカス小屋のファンタジーになってしまうのが、おフランス。(笑いころげました。熟女のコスプレ?がお好きな方は、ツボにはまりますよ)

しかし、いけ好かないローズおばさんが、だんだん両親よりも頼れる存在になり、そして別れを迎えます。その時、実はエミールの世話をしていたのではなく、ローズがエミールに育てられていたんだ、という事に気付き、彼女は新しい人生を見つけるのでした。

そりゃ死ぬの怖い。大人だってそうだもの。
毎日、手紙を書くことにしました。





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