メタルヘッド (2011年)

製作年・国 2011年・アメリカ
少年映画評価 B+
お薦めポイント もてない少年の奮闘ドタバタコメディ
映画情報など DVD発売済
(写真はTJ役のデヴィン・ブロシュー君)


2011年8月13日、シネマート心斎橋(大阪)にて鑑賞。

この日は短いお盆休みの初日。家で休養とも思ったのですがネット検索で、たまたま見つけたのが本作品。今一番輝いているアカデミー賞女優ナタリー・ポートマンさんがメインの作品だろうと、あまり期待してはいませんでした。

ところが、これまた予想外れ。正真正銘の少年映画でした。今年は映画情報の事前調査をさぼったせいもありますが、思わぬ拾いものの少年映画が多いです。一方、ナタリー・ポートマンさんのファンの方には大失望作品ではないかと思います。

舞台はアメリカ、事故で母を失い悲しみにくれる父子。ある日、息子のTJ(デヴィン・ブロシュー)が、ヘッシャー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)という名のメタル野郎にからまれ、家までついてきて、そのまま父子の家に住み着いてしまった。

一方、TJ(変な名前ですけれど)は、イジメられていた時に助けれられたコンビニの女性店員(ナタリー・ポートマン)も淡い恋心を抱くものの、それを知ったヘッシャーは、女性店員をたぶらかしてsexまでして奪ってしまう。へっシャーの変態的な破壊行為に振り回されながらも気がついてみると、父子は悲しみを乗り越えていた。


 所感など

物語は息子TJの視線で進んでいく。そういう意味で、少年が完全に主役です。この息子TJを演じたデヴィン少年が非常にチャーミング。声変りはしていないものの反抗期に入りかけ。父や祖母にも距離を置くようになるお年頃。でも、ふとみせる表情が非常に可愛い。何と言ったらいいのか、ちょっとイジメてやりたくなる顔なんです。

そんなサディスティックな気持ちを、この監督さんはちゃんと判っているんですよ。TJ少年は車にはねられること2回、自転車で派手に転倒するは、クレーンから宙吊り落下するは、苛められシーンも数知れず。S的趣味を持つ皆様、満足できましたしょうか。肉体だけではなく精神的にも。

TJが憧れていた女性(ここでナタリー・ポートマンさん登場)をヘッシャー野郎は先回りして奪ってしまいます。しかしTJ少年はタフ。このくらいの事ではめげずに頑張るのも可愛い。

さて映画の原題は「ヘッシャー」。その通り変態男ヘッシャーがこの映画の一応の主人公。ヘビメタ野郎なんでしょうが音楽シーンは皆無。口から出るのはお下劣な言葉ばかり、ブリーフ一丁で電信柱に登る姿をみていると、漫才のダウンタウンの松本氏を思い出しました。

で、このヘッシャーが目をつけたのがTJ少年。まるでストーカーのように少年につきまといます。ナタリー扮する女店員にも絡みますが、女店員が目的というより少年への嫌がらせのよう。そういう意味でヒロインは女性ではなく少年だったのかもしれません。(あくまでも私の独断解釈ですが)

エンドロールを見ていると、ヘッシャーはある意味キリストの化身のようにも描かれています。ちょっと、いやかなりお下品なキリスト様。でも失ったものばかりに捉われて前を見ない父子に、強烈なパンチで矯正の手を差し伸べる。結果的には救われたのですから、神だったのかもしれません。

最後にナタリー・ポートマンさん。今でも熱狂的なファンのいる映画「レオン」の少女のイメージがありましたが、本作では、おばさんと呼ばれるくらい年とってしまったなあ。

生意気盛り。でも少女のように見える時も
痛めつけられる少年。アクション俳優ですなあ





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