悪を呼ぶ少年(1972年)

製作年・国 1972・アメリカ
少年映画評価 B+
お薦めポイント 双子の少年の可愛さと不気味さ
映画情報など 1973年国内公開。DVD発売中
(写真はクリス・ユドヴァーノキー君)


双子の少年が登場するホラー映画の草分け的作品。1972年制作ですが古臭さを感じさせません。最近の似たような量産ホラー映画よりも印象に残ります。今でもDVDが販売されているのは根強い人気の証拠かもしれません。

双子の兄ホランドと話をするナイルズ。(画面に2人同時に映る事は少ない)

1935年の米国コネチカット州が舞台。10歳のナイルズ(クリス・ユドヴァーノキー)は父を事故で亡くし、母は精神を病んでひきこもり。ナイルズは双子の兄ホランド(マーティン・ユドヴァーノキー)と2人で元気に遊んでいる。ホランドの悪戯がエスカレートしてくるのが心配だった。

そして意地悪な従兄弟の少年、隣家の口うるさい老婦人が相次いで事故で死んだ。不審に思った祖母がナイルズに話を聞くと、兄のホランドが犯人かもしれないと。祖母はナイルズをホランドの墓の前に連れていく。しかし怪異は収まらない。結婚した姉の赤ん坊が殺されるに至り、祖母は決心した。ナイルズと一緒に死のうと...


ホラーなのかサイコなのか。死んだ双子の兄の霊なのか、単なる多重人格症候なのか。それでも不気味さは大したものです。祖母はロシアの出身。不憫なナイルズを愛するあまり、ナイルズに超心理的な遊びを教えます。鳥の心に乗り移ってごらん。純真なナイルズは鳥になって空を自由に飛びました。

この家族の長男が代々受け継いできた指輪。最後はホランドが嵌めていましたが、祖母は呪われた指輪だと言って墓に埋めました。しかしなぜかナイルズが持っていました。ホランドの霊の指示で、遺体から指ごと切り落として隠し持っていたのです。

この指輪の呪いなのかもしれません。最後にネタバレですが、祖母は納屋に鍵をかけて火を放ちます。中には祖母とナイルズの2人。しかし鍵は壊されナイルズだけは生き延びます。呪いは続くのでしょうか。続編はありませんけれど。

最後に双子を演じた少年が天使のように可愛いこと。また1935年という時代設定ですが、少年たちの衣装が短い半ズボン。アメリカ人にしては違和感も感じましたが、少年らしくて非常に良かった。


ナイルズは大人しくて優しい性格。
しかし兄ホランドは攻撃的な性格だった。
兄のホランドは唐突に現れる。
(よく似ていて最後まで判別できませんでした)


ナイルズを心配して祖母が近づいてきた。
(祖父、父、長男も不慮の事故死とは...)
ホランドの墓の前で。死んでいるのよ。
ナイルズは納得。それでもホランドは現れる。


※後記
本作は日本のミステリー作家にも影響を与えたそうです。綾辻行人氏の『暗闇の囁き』が2021年5月に新装版で刊行され、購入しました。あどがきには本作をみて衝撃を受けたと書いてあります。この『暗闇の囁き』は完全に本作へのオマージュだそうです。文庫のカバーイラストが非常にgood。書店でカバーだけでも見てはどうでしょうか。
おわび
主人公の双子の弟の名前をマイルズと書いておりましたが、ナイルズの誤りでした。お詫びして訂正いたします。




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