YASHA-夜叉 (2000年)

初回放送・製作 2000年・テレビ朝日 深夜ドラマ 全11回
作品評価 B
お薦めポイント 主人公の少年と盲目の少年との絆
関連情報など DVD発売中。
(写真は遠藤雄弥君。ちょっとホラー?)


2000年4月からテレビ朝日系列の深夜枠で放送されたドラマ(全11回)。原作は少女マンガですが、バイオハザード(パニック系)もの、人工授精(天才ベビー)もの、同性愛系、などがてんこ盛り。しかしながら、それなりによく出来ています。

決して少年ドラマではありませんが、何度か回想シーンで出てくる二人の少年俳優、遠藤雄弥君と鈴木藤丸君が印象に残ります。二人の友情を超えたような人間関係が切ないのです。

(実は「昼帯ドラマの無名少年俳優」という雑記を書こうと思って集めた古い画像の中に、鈴木藤丸さんの写真がありました。そこで思い出して、本ドラマの記事を先に書く事に。結果的には遠藤雄弥さんが中心になってしまいましたけど)

夕焼けの海岸で戯れる少年二人。何も考えず幸せだった頃

ある島で未知のウイルスにより大量の死者が発生。原因究明のため米国から天才医学者の有末静(せい。伊藤英明)が招聘された。招聘先の病院で偶然にも、幼馴染みだった盲目のピアニスト永江茂市(柏原収史)と遭遇する。8年前、静が何者かに拉致されて以来のことだった。

少年時代から静(遠藤雄弥)は天才的な頭脳を持っていたが、母(大塚寧々)の指示でそれを隠していた。唯一の友人である茂市(鈴木藤丸)は生まれつきの盲目であるが、優れた音感と人には聴こえない高周波音を聴くことが出来た。静もまた高周波を聴く能力を持っていた。

二人は「犬笛」を使って彼らだけの会話をしたり、本当の兄弟か恋人のように暮らしていた。しかし12歳になったある日、正体不明の男たちが静を拉致しにやってきた。母や茂市の抵抗にも係わらず、静は拉致され、おまけに母は射殺されてしまった。

静は、米国企業が天才遺伝子を持った子供として人工授精で作られた子供(商品)であり、母は代理母だった。この母が息子を連れて隠れていたのだった。静は米国へ渡り天才医学者に。そして殺人ウイルス騒動。さらに静には一卵性双生児の弟がいたり、大人になった茂市には妹がいたりと、ストーリーは錯綜しますが、多くの人物は非業の死を遂げます。


左)遠藤雄弥君と、右)鈴木藤丸君。出番は少ないものの二人の少年俳優が印象的でした
 盲目の少年という設定

幼馴染みの親友、(その手の世界みたいですが)兄弟の契りを交わした親友など、同性の親友が登場するドラマは多々ありますが、片方が盲目の少年というシテュエーションは、ちょっとインパクトがあります。

目の見えない僕をいつも守ってくれる少年。僕は親友である少年が大好きで、目は見えないけれど、彼の事も守ってあげたい、いつまでも。なんかすごく濃密な関係を感じるのです。これは少女マンガならではの発想だろうと思ってました。(以前にも書きましたが、私には妹がおり、幼少時には妹のマンガ雑誌「マーガレット」やら「りぼん」も読んでおりました)

ところがネットで検索すると原作は全く違うようで、茂市を盲目の少年に設定したのはドラマの都合上のようです(脚本家は女性のようですが)。原作を知らないので何とも言えませんが、これはTVドラマの方が良かったかもしれません。その他、登場人物も原作とは違います(原作は女性が少なく、TVでは女性を増やしています)

ドラマの最終回近くだったか、茂市少年が大雨の中、静少年のことを思いながら、大きな木の幹にそっと頬を埋めるシーンがありました。残念ながら画像が残っておらず、ここで紹介できませんが、このシーンが1番印象に残っています。(DVDを借りて確認しないと。もしかしたら記憶違いかも。)

 少年俳優も光っていました

ドラマは当時新人俳優だった伊藤英明さんと、イケメンの柏原収史さんがメインですが、彼らの少年時代を演じた遠藤雄弥君と鈴木藤丸君も、出番は少ないとはいえ、本当に素晴らしい演技でした。(今、ネットで古いレビューを見ても、少年俳優への言及は皆無ですので、私しかそう思わないのかもしれませんけれど)

遠藤雄弥君は映画「ジュブナイル」での実質主役、NHK朝ドラ「ちゅらさん」など大きな役を貰い、今でもミュージカルや映画で大活躍されています。一方、鈴木藤丸君は、TBS「池袋ウエストゲートパーク」の6話「少年計数機」での演技が印象に残りますが、現在はどうされているか不明。

とかく原作モノは、原作より大幅に劣化するとの批判が多いのですが、きちんと誠実に脚本を書けば、原作をrespectしつつ、原作とは異なる価値を提供できるのではと思います。ただ安易に、ウケ狙いの仕事は、どんなに着飾ってみても化けの皮がはがれます。

静と茂市、二人の少年はいつもいっしょ
遠藤雄弥君。美少年でした





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