にっぽんのパパ (1970年)

初回放送・製作 1970年10月25日・TBS系列(HBC製作)
作品評価
お薦めポイント 一家で廃村へ。北の国からの原点のようなドラマ。
関連情報など TBS日曜劇場枠で放送。未メディア化
(写真は長男役の佐山泰三君)


今、民放ドラマ枠で最も影響力が高いのは日曜夜9時の日曜劇場でしょうか。1956年放送開始ですからもう64年間。今はTBS製作の連続ドラマですが、過去は1話完結で各地方局で順番に製作。

その中でもHBC(北海道放送)製作作品は名作揃い。若き日の倉本聡、山田洋次、山田太一などの脚本に加え、笠智衆、田中絹代などの往年の大俳優の名も。それらの古い作品が現在(2020年)日本映画専門chで続々と放送されています。本作もその中の1つ。

日本映画専門chの番組紹介ページより。

東京で暮す父(フランキー堺)に友人から手紙が届いた。北海道での自給自足生活を止めて町に戻る。その家に一度遊びに来てくれ。鍵が同封してあった。父は母(八千草薫)と長男一郎(佐山泰三)と次男二郎(亀田秀典)を連れて、夏休みのキャンプ代りに出かけていった。

電気も水道も無い廃屋。父は奮闘しながらランプや飲み水を確保し、魚や野草を採り、自給自足生活のマネごとを始めた。次第にその生活にのめり込んでいく。一郎も二郎も最初は父のそんな姿を頼もしく思った。父は仕事も止めてここで暮らそうと言い出した。次第に父と家族が解離していく...

 原作は小松左京氏との事ですが...

原作「木静かならんと欲すれど…」は昔に読みましたが、本ドラマのテーマとは少し異なります。田舎の廃村に一家で移住するのは同じですが、その話を聞いた友人連中が次々に廃村に移住してきて廃村移住ブームが起きる...なんてオチでした。(今また廃村・廃屋ブーム。呪いのスポット巡りする罰当たり者で..

経済成長でエコノミックアニマルと言われながら消費生活が進む社会を風刺したものです。本ドラマはそんな社会の中でお父さんの存在に焦点を当てています。東京でサラリーマンの父。毎日仕事に追われて疲れ、子供たちから見ればお父さんは空気のような存在。

それが北海道の山に来てからは、魚を獲ったり、木の苔の場所で方角を知ったり、子供たちは父の姿に目を見張ります。しかしそこからがいけません。父は次第にテングに。俺の理想はもっと高いんだ。俺は東京では不遇だった。家族は俺を慕っている...

結局、父は張子の虎に過ぎず、木が倒れてケガをしたところで簡単に挫折。とぼとぼと一家で東京に戻ります。でもこの失敗のおかげで家族の絆は深まったように思います。

名作「北の国から」の五郎も最初は同じでした。息子の純(吉岡秀隆)は愛想を尽かして東京へ帰りたいと。しかしそこから先が違う。五郎は多くを語らない(口下手で語れない)。そして父を信奉する娘(中嶋朋子)の存在。このドラマの不完全さをうまく解消して名作になっていったような気もします。

東京の狭い部屋で
(一郎はマンガばかり)
日曜日。二郎に起こされるパパ
(日曜くらい寝かせてくれ..)
北海道の廃村に着いた。
パパは鍵を自慢そうに...


何とか住めるようになった
(ちゃぶ台でご飯も新鮮だった)
捨てられた?ヤギを見つけた
こうやって乳を絞るんだ
恐る恐る飲んでみる一郎
この後...オェーッ...飲めない


豪雨と嵐で家が揺れる...
二郎は父にすがりつく
なんと6年生の一郎まで...
父としては嬉しい一瞬だ
父に寄り添って眠った一郎
(寝顔は意外に美少年)


父がだんだん専制君主に...
二郎の目が厳しくなった
我慢していた一郎もついに...
一生懸命だった父はショック...
とうとう東京に戻る事にした。
2ヶ月暮した家とはお別れだ
(「北の国から」五郎の家みたい...)



※後記
このドラマが製作された1970年。少年たちの服装はもう垢抜けています。「20世紀少年第1章」で描かれる1970年の少年たちとは違います。あんな薄汚い服装の少年は見ませんでした。なんせ私は70年頃の現役小学生ですし...





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