本当は怖い童謡 (2008年)

公開年・種類 2008年発売・DVD作品
作品評価 B-
お薦めポイント 童謡に込められた怖くて悲しい話
関連情報など DVD2巻 発売終了(中古は豊富にあり)
(写真は「あめふり」の北村匠海君。)


幼い子供の心情を歌った可愛い童謡やわらべ歌。その歌詞には恐ろしい意味が込められていた...
ホラーか都市伝説の定番ですねえ。他にも本当は怖い日本昔話、グリム童話...便乗商法は限りなく続きます。まあいいじゃないですか。ホラーとはエンターテイメントですし。

2008年にDVD2巻が発売され私も購入。1回見た後は忘れてしまっていましたが、レビューネタが底をついた事もあって取り上げます。「あめふり」、「かごめかごめ」、「とうりゃんせ」、「はないちもんめ」の4話が収録。今回はこのうち「あめふり」「とうりゃんせ」をレビューします。

この2話は少年が主人公。残り2話はセーラー服の女子高生たちのお話。時間的には少年モノが各15分、女子高生モノが各30分ですから、少年モノはおまけなのかもしれません、映画でいえば併映の短編。それでも北村匠海君は主役ですし、20世紀少年で活躍した西山潤君も出ているので見逃せません。

まだ幼いけれど美少年だった北村匠海君。エキゾチックな表情が...

<あめふり>
小学生のコータ(北村匠海)はわがまま放題な少年だった。家はそれなりに裕福で進学塾に通っているが、母親には悪態つき父親の注意は無視。ある日、傘を持っていけと言われたのに無視して塾へ。そして強い雨。コータは電話で母に傘を持って来させる。そして帰り道、柳のねかたで1人の少年(西山潤)が濡れて立っていた。

どういう気まぐれかコータはその少年に傘を貸してやった。少年はなぜかコータと母の家まで一緒についてきた。ドアを開けた時、コータと少年が入れ替わってしまい、両親から「お前は誰だ、警察を呼ぶぞ」と追い出されてしまう。何を言っても両親は聞き入れてくれない。

入れ替わった少年は不敵な笑みを浮かべながらコータに「この両親はお前にはもったいない」と。コータは行く場所がなく、少年がいた柳の下に濡れて佇むしかない。両親への態度を悔いても悔いても...その時、少年が戻ってきた。「わかったか...」というような顔で。次の瞬間、コータは元に戻った。

<とうりゃんせ>
7歳のタカシ(守田聖正)は母とドライブ。ハイキングに行くというが母の顔に笑みはない。母が口ずさんだ「通りゃんせ」。タカシはなぜ「帰りは怖い」と尋ねるが母は無視。山の中のお堂へ続く坂道の前で車を停め、タカシの手を引いて登りだした。そこへ老婆が現れて不気味な言葉を吐くが、母は逃げるようにお堂に登り着いた。

お堂は清水の舞台のように崖の上。母はタカシをそこから...ここで主客反転。タカシは幽霊だった。1年前の今日。タカシは母に突き落とされたのた。母の再婚にはタカシが邪魔だった。しかしそれ以降、タカシの霊に悩まされた母は成仏して貰おうとここに来たのだが...

 「あめふり」はゆる〜いお話...

わがまま放題の少年にお灸を据えてやった。そんなお話でした。世間ではもっと怖い、おどろおどろしい都市伝説バージョンもあるのかもしれません。でも怪談とは、ある意味の道徳説話でもあり、このくらいでいいのではと思います。

2人の少年、北村匠海君と西山潤君は同じスターダストプロモーション所属。西山君は映画「20世紀少年」シリーズで主人公の少年時代役を演じたキャリア子役。15分にも満たない作品なのが勿体ない。もうちょっと話もひねってほしかった。

柳の下に濡れて立っている少年がいた
無視しようとしたコータだったが...
何のきまぐれか、少年に傘を貸してやった
(西山潤君の悪魔的な表情。妖怪人間ベロにも似ている)


母親がいきなり変な事を言い出した...
あなたはどこの子? 2人は入れ替わっていた!
あっけにとられるコータ。何を言っても...
(♪驚いた君の瞳、そして僕ら今ここで生まれ変わるよ)


ガラスに映ったコータの顔は...
あの少年の顔だった(なんか手が怖〜い)
あの少年がいた柳の下で佇んでいると...
少年が戻ってきた。傘と両親を返してやるよ。


 「とうりゃんせ」はきつ〜いお話...

横断歩道に設置された盲人(視覚障害車)用スピーカー。昔は「通りゃんせ」のメロディーだったのに最近は聞かなくなった。これはよく聞く話。本ドラマでも母親が交差点でつい口ずさんでしまったのが「通りゃんせ」。行きはよいよい帰りは怖い、この子の七つのお祝いに、怖いフレーズが続きます。

しかしもっと怖いのが生身の人間。邪魔になった我が子を手に掛ける。車の中の母子の緊張感の描写は凄い。松本清張原作の映画「鬼畜」も顔負け。でもタカシ役の守田聖正君が可愛いのが救いです。母親はクズ人間には違いないのですが、母親としての葛藤や情念ももう少し出してくれた方が、作品全体のレベルが上がったのに。

母の運転する横に座るタカシ
(ドライブだけど、ちっとも楽しそうでない)
山道を母に手を引かれてハイキング
(映画「鬼畜」のシーンを思い出すなあ...)


崖の上に立つお堂の手すりで...
(邪魔になった息子を突き落とすのか)
いや実はちょうど1年前の事だった。
タカシはここで死んだのだ(幽霊でも可愛い)






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