ある日突然に 君に「いじめ」は似合わない (1998年)

公開年・種類 1998年製作・DVD作品
作品評価 B-
お薦めポイント NHK「中学生日記」の拡大版のような作品
関連情報など 2012年よりDVD発売中。
(写真は五十嵐迅人君。)


前千葉県知事の森田健作氏が教師役を演じた道徳ドラマ。1998年にオリジナルビデオとして製作されましたが、14年後の2012年にDVD化。ずばりイジメがテーマ。イジメ問題に対する一つのを描いたもの。道徳の教材としてはいいかもしれません。でも...

夜の公園に連れ出され、イジメ(ではなくて暴行!)を受けるタクヤ。中央がイジメの主犯格。
映画では最後まで反省の言葉なし。教師も何も言わない(ひょっとして教師も仕返しが怖いのかも...)

神奈川県に住むタクヤ(五十嵐迅人)は希望に燃える中学1年生。得意のクラリネットを持って吹奏楽部に入部。しかし同級生がイジメられている現場を目撃。翌日からタクヤがイジメのターゲットになった。放課後には暴行。嫌がるタクヤを無理矢理リレーの選手に選出したり。教師(森田健作)は何も気づかない。

タクヤは登校拒否。ここで初めてイジメ問題が発覚。父親(山下真司)は長期休暇を取り、タクヤと2人だけで故郷の群馬県の廃屋で生活を始めた。恐竜の化石を探そうと。何の反応も無いタクヤだったが、次第に父と打ち解ける。1ヶ月後。タクヤは学校に復帰した。

 イジメは決してなくならない...

本作で1番印象に残ったのは山下真司さん演じる父親。息子に対して威圧的な態度を一切とらず、粘り強くコミュニケーションを取ります。群馬県の廃屋で電気も水道も無い暮し(「北の国から」の世界)。その中で父の思いを語ります。子供が生まれたら一緒に化石採集をしたかった。

お前がイジメを受けていると聞いた時、父さんはショックだった。なぜイジメられるのか。それをきちんと考えたい。そんな話をします。イジメられる側にも責任がある? そんな論理では決してありません。でも難しい。本当に難しい。

一方、森田健作さん演じる教師。イジメの首謀者は判っています。でもそいつらに対しては何も話しません。話すのはクラス全員に対してイジメの虚しさをに関する本を朗読。時間をかけて。本作ではクラス全員が反省して納得したように描かれています。甘い。本当に甘い。

教育でイジメが無くなるなら、とっくに無くなっているはず。今でも毎日のようにイジメ報道。教育委員会の隠匿工作とか。大人社会でも陰湿なイジメ。驚く事はありません。人間とはしょせんそんな存在なのです。神話によれば八百万の神様の世界でもイジメ。

じゃあどうすればよいの。それが判ったら苦労しません。とにかく私はイジメを描いた作品が苦手。見ないようにしよう。(とか言いながら見てしまったし...)

タクヤは普通の明るい少年。
(中学へ行くまでは)
得意のクラリネットを披露。
(これもイジメの遠因かも)
トイレでイジメを受ける同級生。
(タクヤは現場をたまたま目撃)


イジメられていた同級生。
(結構美少年。それが理由かも)
イジメのターゲットが自分に。
(僕は何もしていないのに...)
靴の中には画鋲が。
(中1で26cmとは結構大きいなぁ)


ズボン下げ。女子もいるのに...
(※画像差し替えました.)
父と一緒に群馬県の田舎へ。
しかしタクヤの心は閉じたまま。
父の思いが伝わったのか。
タクヤの顔に笑顔が戻った。



※後記
群馬県の廃屋は父の知人の所有で、ちゃんと許可を得ているという設定です。最近はホラーブームとやらで、廃屋や廃村は不逞の輩が入り込んで散々に荒らしまくっているそうです。廃村でなくても福島の原発避難地区の商店などは軒並み荒らされてしまったとか。日本人はそんな事しないと世界に賞賛されていたのに...





▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼「テレビ番組」に戻る