怪獣王子 (1967年)

初回放送・製作 1967年10月2日・フジテレビ系列
作品評価
お薦めポイント 恐竜に育てられた野生の少年が地球を救う!
関連情報など 全26回。BD/DVD絶版(中古価格は高騰中)
写真は野村光徳君。


大人気特撮番組だったマグマ大使の後枠での放送。しかし当時小学低学年だった私は見た記憶が殆どありません。とにかく特撮(特に遠景)がオモチャの人形まる出しで、幼児にすらバカにされていた印象でした。

番組に興味を持ったのは80年代後半。「宇宙船」という特撮系の雑誌で怪獣王子の記事を見たのです。いつの号かは覚えていませんが、製作したピー・プロダクションの鷺巣富雄社長の熱い語りや、王子役の野村光徳さんが当時の衣装を手に持っている写真などが掲載されていたように記憶しています。

東京・荻窪にあったピー・プロダクションのビデオショップで怪獣王子のビデオを販売中との記事を見て、買いにいきました。その経緯はまた下の後記で書きます。2002年にDVD-BOXを購入。その後、ブルーレイBOXも発売されましたが、さすがに高くて買えませんでした。買っておけばよかったなぁ...

オープニングより。最初の6話までは35mmフィルムで撮影。(当時のテレビ番組は普通16mmフィルム)
(海外マーケットへの販売も視野に入れていたとか)

火山学者の伊吹博士と家族が乗る飛行機が海に不時着。双子の息子の兄タケルが海に流された。約10年後、博士は太平洋の火山島を調査中に宇宙人の襲撃を受けた。そこへ1頭の恐竜と少年が出現し博士たちを救った。少年の顔を見た博士はタケル(野村光徳)に違いないと確信。ケガをしたタケルを日本に連れ帰った。

双子の弟ミツル(野村好徳)は喜ぶ。しかし火山島では宇宙人が怪獣を使って地球の征服を狙う。タケルは海を渡ってやってきた恐竜に乗って火山島へ戻る。そこで自衛隊の特殊部隊と一緒に宇宙人と戦い、地球の危機を守る。博士やミツルも火山島へやってきたが、タケルは火山島のジャングルに消えていった。


まず、子ども向けの特撮物語。あまり科学的な合理性とかを追求するようなヤボな事はやめましょう。タケル少年の育ての親は怪獣ではなくて恐竜。ですから本来なら恐竜王子ですが、当時は空前の怪獣ブームでしたので、このネーミングも仕方ありません。なお恐竜の名はネッシー。笑ってはいけません。

まだ赤ん坊だった双子の息子。兄が波にさらわれた。必死で助けようとするが、このままでは2人とも失う。父親である博士は涙の決断。残っている弟に全力を注ごう。そして生還。しかし母はもちろん、博士も流されてしまったタケルの事を忘れる事は出来なかった。

恐竜に育てられた少年。人間の言葉や感情なんてそう簡単に習得できるのでしょうか。そこは突っ込んではいけません。タケルは日本語を理解します。でもこの設定のおかげでセリフが下手でも、野性の少年だから仕方ないと逃げれます。いやいや決して野村光徳君の事ではありませんよ。

しかし本作の最大の魅力はタケル少年のアクション。ブーメランを自在に操り、宇宙人たちを叩き伏せます。特殊部隊の精鋭たちと一緒に行動しますが、兵士たちは完全武装。それに比べて少年は薄っぺらい服で、太腿は露出。撮影とはいえ大変な身体能力だったと思います。

今では、こんな衣装で少年や少女にアクションさせたら児童虐待に問われるかもしれません。でもCG技術が進化したので、また少年ヒーローものを作って欲しい。海外では『ジャングル・ブック』が何度か実写化。豪映画『マッドマックス2』に登場するブーメラン少年などが印象に残っています。


太平洋の火山島で生きていたタケル。
なんと恐竜に育てられた。
宇宙人に襲われた博士を助ける。
まさか、この少年が息子だったとは。
潜水艦の艦上でネッシーを呼ぶ。
ネッシーはプロントザウルスか。


双子弟ミツル。(50年前の)現代っ子。
(タケルとミツル、判別できません)
兄を追って火山島へ来たミツル。
昭和少年の服装はオシャレですよ。
ネッシーに乗って火山島へ戻る
散髪。ますますミツルと判別困難。



火山島で特殊部隊と一緒に宇宙人と戦うタケル。兵士に抱かれるタケルが凛々しくて...



※後記
ピー・プロダクションが荻窪駅の近くにビデオショップを開店しており、店に行けば、社長の鷺巣富雄氏が色々な話をしてくれるとの記事を雑誌「宇宙船」で読みました。鷺巣富雄氏は漫画家のうしおそうじ氏本人でもあります。

まだ社会人になって間も無い私ですが、東京出張の帰りに荻窪まで寄ってビデオショップを探しました。思ったより小さなお店。残念ながら鷺巣富雄社長は不在でしたが、奥様が気さくに話かけてくれました。そこで「怪獣王子」のお手製ビデオを購入。価格は書きませんが、安サラリーマンの私には結構高価でした。右はお手製のビデオラベルです。





▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼「テレビ番組」に戻る