帰ってきたウルトラマン (1971-72年)

初回放送・製作 1971年4月2日・TBS
作品評価 B+
お薦めポイント お子様向け?いやいや決して侮れない社会派の視点
関連情報など 全51話。BD/DVD発売中。海外版BDがお勧め。
写真は準主役の川口英樹君。


ウルトラマンの3作目(ウルトラQを加えると4作目)。放送当時は見ていませんでした。レオやタロウが思いの外よかったので、同じく海外版の廉価ブルーレイボックスを購入して全51話をほぼ一気に鑑賞。いやいや見応えがありました。3作目くらいになると子供騙しかと思っていましたが結構シリアス。

帰ってきたウルトラマンについても熱いファンの方が多勢おられ、帰ってきたウルトラマン○○話と検索すると、どのエピソードに対しても熱い思いを語るサイトが数多くヒット。とても私なんかが、どうこうコメントする立場ではありません。少年俳優の視点からほんの少しだけ紹介してみます。

第15話より。父親を亡くした少年役を演じたのは高野浩幸君。なかなかの熱演でした。

主人公はカーレーサーの郷秀樹(団次郎)。怪獣から少年を助けようとして命を落とすが、ウルトラマンの魂が乗り移って蘇り、MAT(怪獣攻撃チーム)の一員となる。レーサーの先輩(岸田森)の弟ジロウ(川口英樹)はMATで活躍する郷に憧れを抱く。ジロウも怪獣や宇宙人との対決に巻き込まれることもあった。

兄と姉が怪獣の攻撃で亡くなり、孤児になったジロウは郷に引き取られた。怪獣たちとの戦いに一段落した郷は、ウルトラマンとして故郷の星に帰る事になった。ジロウとの涙の別れ。郷は「ウルトラ5つの誓い」を示して強く生きるように言って去っていく。


ウルトラマンでもある郷秀樹ですが、人間としての未熟さも残っており、怪獣との戦いの中で様々な葛藤に苦しみます。ジロウ少年への指導は自分自身への指導でもあったようです。最後はしっかりとした人格(ウルトラマン格?)を確立して故郷へ帰っていきます。

ジロウ役の川口英樹君は本当に芸達者の子役さん。そりゃ毎週こんな撮影が続けば、その辺の大人の俳優より貫禄がつくでしょう。兄役がなんと岸田森さん。ちょっと年の差があり過ぎて兄弟とは思えませんでした。岸田森さんは独特な雰囲気を持つ俳優さんで結構好きでしたが残念ながら早逝されました。

レギュラーではなくゲストの少年俳優で一番印象に残るのは高野浩幸君。51話中、6回登場しますが、ジロウの友人など名前も無い役ばかり。しかし15話だけは主役。この時の高野君は本当に惚れ惚れするような美少年。後には「バロム1」や「田園に死す」で有名になり、女性ファンも多かったようです。

帰ってきたウルトラマンの中で最大の話題作は33話「怪獣使いと少年」でしょうか。あまり面白い話では無いのですが、異端者を惨殺する人間の醜い面を曝け出すストーリー。子供にはキツい話で、33話の監督は助監督に降格、脚本家はしばらく干されたそうです。

1971年。当時の東京のロケ地が非常に興味深いのです。時代から取り残されたような古くてまるでスラムのような街並みも。64年東京五輪で整備が進んだ東京ですが、70年大阪万博、72年札幌五輪に予算を取られたのか、それとも革新?都政の影響なのか。わざわざ貧しい場所を選んでロケしているような感じさえしました。


(1話) ジロウの家族は姉と兄だけ。
右後ろは岸田森さん。
(26話) ジロウは何度も大活躍。
(帽子がお洒落ですなぁ)
(51話) 郷さんとの別れ。
涙が止まらないが...


(10話) ジロウの友人は高野浩幸君。
役名はありません。
(15話) 父を亡くした史郎役。
この回は高野浩幸君が主役。
(15話) 父の汚名をはらしたい。
亀の怪獣が世界を破壊してくれ...


(32話) 悪魔と天使の間に。
天使のような少年は永吉健太郎君。
(32話) 半ズボンに黒タイツ。
(タイツは嫌でした。トイレが...)
(32話) 実はこの少年は宇宙人。
この後、射殺されて血まみれ...


(33話) 首から下を埋められる。
チェコ映画「異端の鳥」でも...
(33話) パン屋の娘だけは...
少年は人間の優しさに触れた。
(33話) 宇宙人を殺せ!リンチだ!
話題作「怪獣使いと少年」


(24話) ゲストは川瀬裕之君。
ゴジラや黒澤映画にも重要な役で。
(32話) ゲストは松原和仁君。
この回も名作の一つ。
(41話) ゲストは斎藤信也君。
2年後タロウではレギュラーに。




※後記
主役の団次郎さん。この頃は若くて本当にカッコいい。ハーフの方ですが、本名は村田秀雄さん。(字は違いますが)演歌の大御所の方を思い出したりしてイメージとギャップが...今は団時朗さんと芸名を改名されているそうです。2020年のドラマ「病室で念仏を唱えないでください」で久しぶりに出演されているのを見ました。





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