少年時代 (1990年)

少年映画評価 7点
作品総合評価 8点
少年の出番 100%(主役)
お薦めポイント ラストの別れシーン
映画情報など 1990年公開/DVD発売中(写真は藤田哲也君)


映画は知らなくても、井上陽水の主題歌を聞いたことのない人は、まずないでしょう。地元少年と東京少年の、友情という線を超えた複雑な心の交流という、まさに少年映画の王道を行く、感動的な名作なんですが、なぜか自分には、少しツボを外している感じがありました。(好きな作品には違いありませんが)

■ストーリー

太平洋戦争末期、東京の小学生、進一(藤田哲也君)は、戦火を避けて一人で富山県に疎開し、田舎の小学校(当時は国民学校)に入る。そこにはガキ大将のタケシ(堀岡裕二君)がいて、強烈なイジメの洗礼を受ける。

他の人間がいる前では進一に辛く当たるタケシ。しかし二人だけの時は、進一に優しい友人だった。孤高の雰囲気を持つタケシはクラスで孤立し、逆に虐められる存在になるが、進一は何もできない。やがて戦争が終り、進一は東京へ戻ることになった。タケシとの別れ。

■主役の藤田哲也君(やや軽さが)

地元のボス的少年(堀岡裕二君)は、素人かもしれませんが、非常な存在感があり、暗い影の部分など、少年とは思えないほど深みのある素晴しい演技をしています。ルックスは派手ではありませんけれど。

その堀岡君が、単に都会から来たというだけでなく、人間として惹かれていく(同性愛的な)相手が藤田君なのですが、彼の持つ雰囲気に深みが不足しているように思っていました。(なんで堀岡君が、こんなガキに惹かれるんだろう、という違和感)

もちろん藤田君はルックスもよく、子役としては問題ない演技をしており、彼の能力が無い訳ではありません。(監督やスタッフの役作り指導が不足かなとも思っていました)

疎開先で、なかなか馴染めない進一
戦争が終り、東京へ帰ることになった

■評価を見直しました。

いろいろ厳しいことを書きましたが、少年映画の代名詞となる名作であり、こんなの創れる人は、当分いないだろうと思います。最初にアップした時点では、この映画に対する自分のスタンスが厳しすぎたと思います。その大きな理由の一つを思い出したのです。

本作品公開直前の頃だと思いますが、映画のメイキングみたいなTV番組が放送された事です。主役の藤田君が撮影休みか何かの時に、ふざけてピースサインをするようなシーンがあり、その様子がその辺にいるガキと同じだったという印象が残って偏見となっていたんだと思います。(記憶が薄れているので、状況が間違っていたら本当に申し訳ありません。)

映画として非常によく出来た作品であると思いますので、3部から2部へ昇格させました。俳優はあくまで映画の中の演技で評価すべきと思います。それは子役でも同じ。いや!子役だからこそ、偏見を排してしていきたいと考えています。

非常に感動した映画に出ていた子役が成長して容姿が変化したり、極端な場合、犯罪を犯したりしていまうという事があるでしょう。その事実を知っても映画は映画として評価を崩さないようにしたいと思っていますが。難しいかもしれません。

タケシの姿を見つけ手を振る進一
(こういうシーンが少年映画のワンパターン)
写真屋で撮ったタケシと進一のツーショット
(二人の一生の宝物になった)





▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼少年映画第2部へ戻る