少年は全て「吉野刈り」という変な髪形に強制される事が伝統の田舎町。そこで理髪店を営むおばちゃん(もたいまさこ さん)の息子、慶太(米田良君)が主人公。そこへ、都会からファッショナブルなヘアスタルの洋介(石田法嗣君)が転校してきたことから騒動が始まる。
学校の先生も、理髪店のおばちゃんも、洋介の髪の毛を「吉野刈り」にしようとするが、洋介は徹底的に抵抗する。慶太も洋介に味方するが、結局は吉野刈りに。それに反発して慶太は、洋介たちと家を出ることに。吉野刈り強制がなくなるまで、家には帰らないぞ!
少年映画評価 | 7点 |
作品総合評価 | 7点 |
少年の出番 | 90%(ほぼ主役) |
お薦めポイント | 米田良君がデュエットする「あずさ2号」 |
映画情報など | 2004年公開/DVD発売済 |
2006年に「かもめ食堂」でブレイクした荻上直子監督の長編デビュー作品です。PFFで作品賞を受賞した監督に、長編映画の製作を支援してくれるスカラシップ制度で、製作された作品です。(第13回PFFスカラシップ作品)
■ストーリー少年は全て「吉野刈り」という変な髪形に強制される事が伝統の田舎町。そこで理髪店を営むおばちゃん(もたいまさこ さん)の息子、慶太(米田良君)が主人公。そこへ、都会からファッショナブルなヘアスタルの洋介(石田法嗣君)が転校してきたことから騒動が始まる。
学校の先生も、理髪店のおばちゃんも、洋介の髪の毛を「吉野刈り」にしようとするが、洋介は徹底的に抵抗する。慶太も洋介に味方するが、結局は吉野刈りに。それに反発して慶太は、洋介たちと家を出ることに。吉野刈り強制がなくなるまで、家には帰らないぞ!
女性の目から見た少年達ですが、変な伝統に縛られながらも、生き生きとした様子を意外にも、違和感なく、爽やかに描いている好作品。ミニシアター系列だけの規模の小さな公開でしたが、結構人気を呼んだ作品でした。
私は、渋谷のユーロスペース(移転前の桜丘町)で観ましたが、満席で何とか席を見つけて、窮屈な中での鑑賞でしたが、観客みんなが笑いながら、なごやかに鑑賞したものです。
都会から転校してくるのは石田法嗣君(後年「カナリア」で主役)で、現代っ子風の髪型で、一見突っ張り少年かなと思わせるのですが、少し気の弱い静かなキャラで、好感が持てました。あまりツッパリ系の少年は好きではありません。
一方もう1人は理髪店バーバー吉野の息子(米田良君)で、母であるぶっ飛び?理容師((もたいまさこ さん)とバトルを演じます。この米田君がどにかくいい。関西出身なので、関西弁を隠して標準語をしゃべっているのですが、なんとなく匂いで関西人なのがわかってしまいます。
また声が完全なソプラノボイスで、もたいまさこの尻に敷かれる、ひ弱なお父さんと2人で、狩人の「あずさ2号」を歌う場面があるのですが、米田君の声が高くて、非常に可愛いので見所です。(ところで、あずさ2号とか、狩人って知ってますかねえ?)
冒頭に、町の子供達がなぜか山に登って「ハレルヤ」コーラスを合唱するシーンがあるのですが、これは大人の女声合唱団なのか、その辺の少年少女合唱団(女子95%)が吹き替えしてるのかな、と思っていると。
何とエンドロールで、FM TOKYO少年合唱団(※全員少年です)が唄っているとの事。しかも歌っている団員名まで、全て出ているではありませんか! なんとも、うれしくなった記憶が残っています。
■成功の要因は、もたいまさこ少年ではありませんが、この映画を引き締めているのは、ぶっ飛びオバさんを演じた もたいまさこ さん。伝統を守る鬼のようなキャラと、子供達への愛情とを、ベストミックスで醸し出せたのは彼女をおいて他にはなく、それをキャスティングした荻上監督の力量は大したものです。男性監督も、このくらいの少年映画を撮ってほしいものです。