スノープリンス 禁じられた恋のメロディ (2009年)

少年映画評価 8点
作品総合評価 4点
少年の出番 100%(主役)
お薦めポイント なんだかんだ言っても森本慎太郎君
映画情報など 2009年公開/DVD発売中
(写真は森本慎太郎君)


2009年12月12日、天王寺アポロシネマ8(大阪)にて鑑賞。

本年も終り間近になって、やっと期待の少年映画の封切です。テレビや雑誌でプロモーションも盛んに行われていましたので、ジャニーズファンの女性や少女で混雑するのは嫌だと思い、大阪の梅田やナンバは避けて、天王寺という土地を選択しました。

天王寺は新世界ほどではありませんが労務者の街です。ここのシネコンなら、ジャニーズ映画でもオッサン率が高いのではとの目算でした。それで、公開初日の1回目の上映(10:30)です。なんですか!?

少女はおろか、若い女性は皆無。65歳以上と思われるシルバー夫婦数組と、高齢男性1人客がチラホラ。ちょっと寂しすぎる映画館でした。(他のスクリーンもそんなに大入りでもないと思いますので、映画館自体が存亡の危機かも。素晴らしく快適なシネコンだけに、ずっと営業して欲しいんですけど)

■ストーリー

昭和初期の東北地方のある村で、少年 草太(森本慎太郎君)は祖父と二人だけで暮らしていた。仕事は炭焼きで家は貧しく、草太は学校にも通えない。しかし草太は絵が上手で画家になるのが夢だった。

祖父が体調を崩し、雪の中を、草太は愛犬チビ(秋田犬)と一緒に炭を売り歩く。草太が思いを寄せる少女や、村にやってきたサーカスのピエロ(実は父親だった)などの話を織り交ぜながら、物語は悲劇へと向かっていく。

■日本版の「フランダースの犬」

昭和11〜12年が舞台ですが、服装、髪型、言葉使いなどのリアリティを追求するような作品ではありませんので、その辺は目くじら立てる事もありません。過去の映画やドラマをパクったようなシーンもありましたが、これも許しましょう。(「スタンドバイミー」の列車のシーンは、本当に止めて欲しいなと思いましたけど)

主役は、ジャニーズの森本慎太郎君。プリンスと呼ぶに相応しい美少年でした。ちょっと切なげな表情も素晴らしく上手でした。でも、セリフ回しが全くダメでした。長いセリフがあるとハラハラします。監督さんもその辺は判っていたのでしょう。短いセリフしか与えていないようです。

主役のセリフに不安があるため、どうしても脇役の出番が増加します。ジャニーズ映画ですから、少女役の桑島真理乃さんは、森本君より目立ってはいけない?はずなんですが、彼女の芸達者ぶりの方が印象に残ってしまいました。

香川照之さん、浅野忠信さんという実力派俳優、さすがに存在感があり、彼らがいるだけで画面の安定感が違います。「独立少年合唱団」の藤間宇宙君、昨年の「トウキョウソナタ」の井之脇海君。香川照之さんは自らの演技だけでなく、共演した子役に対し監督以上に厳しく演技指導をしてきたとの話をよく聞いていましたが、今回は森本君に対して何も出来なかったのでしょうか。

森本君はジャニーズの商品(こんな言い方をして本当にすみません)なので、香川さんも口を出せなかったのかなあ。その割には、ドビュッシーの「月の光」は大安売り。「トウキョウソナタ」の最後のシーンで井之脇君が演奏した同じピアノ曲は、映画の高評価の原動力になりましたが、今回はどうでしょう。

森本慎太郎君のルックスの良さは捨てがたいのですが、もし同じ役を、例えば広田亮平君が演じていたらどうでしょう。きっと最後はもっと涙になるように思います。やはり児童劇団でしっかりセリフを勉強した子役に演じて欲しかったなあ。

ただ、海外マーケットの事を考えると、今回は森本君でいいのかもしれません。どうせ日本語のセリフは判らないでしょうし、アジアにはジャニーズのファンも多く、日本の少年映画が流行ってくれれば。

今回も辛口意見になってしまいました。とは言いながら、実は本作品は大好きなんです。矛盾だらけのオジさんですみません。少年映画がもっともっと作って欲しい、それだけです。

草太は絵描きになるのが夢だった
夜の教室。少女の奏でるピアノを聴く草太





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