きみは僕の未来 (2010年)

少年映画評価 7点
作品総合評価 5点
少年の出番 100%(主役です)
お薦めポイント 大人は判ってくれない。私市夢太君
映画情報など 2010年公開/DVD未発売
(写真は主役の私市夢太君)


2011年10月29日から第1回浦和映画祭が埼玉県さいたま市で開催。色々な場所で映画祭が行われていますが、安易な町おこしが目的のものも多く、正直言ってあまり興味はありませんでした。しかしその中に、ndjc(若手映画作家育成プロジェクト)特集と銘打って選りすぐりの3本が上映され、そのうち2本がどうしても見たかった少年映画だと知って、これは少し無理をしてでも見なければと思い、浦和まで出かけました。

かつて関東在住の頃、大宮には何度も行っているのですが、浦和駅で降りるのは3回目。パルコの6階にあるシネコンへ。映画祭と言ったってシネコンの1スクリーンを借りた余興程度のものです。とはいえロビーにはndjcの若手監督達がいて、何ともいえない熱気と緊張を感じました。余興なんて失礼な事を言いましたが、こんな企画を英断したシネコンの関係者の方には本当に感謝したいと思います。

■ストーリー

兄を亡くし、父母は離婚し母子だけで生活する少年(私市夢太君)。思春期に入り、全ての事に素直になれない、なにかモヤモヤが晴れない、誰にでもあるそんなお年頃。

学校では好きな女の子にうまく告白できず脅迫状騒ぎを起こす。先生も母も失業中の叔父も世話をやいてくれるが、なんにも判っちゃいない。うっとうしいだけ。そんな時、コンビニで働く父を見つけた。「父さん、僕を誘拐して」

でも父はダメ人間だった。そんな父に失望するが、父の言葉を聞いているうちに何かが心の中で変わっていく。亡くなった兄や家庭のこと、そんな思いを込めて最後は父の胸に。

■大人は判ってくれない

さて映画は2009年の作品で30分の短編です。短時間なのに色々と詰め込み過ぎて消化不良の感じもありましたが、正真正銘の少年映画でした。監督は浅野晋康さん。

うまく作れば、もう少し時間があれば、トリュフォー監督の「大人は判ってくれない」のような感動作になる予感もあるのですが、30分では厳しい。イジメのシーンなど不要なものはカットした方がよかったのではと思います。

主演の私市君。美少年なんですが、終始ぶすっとしていて性格は可愛くありません。しかしそれが最後は心を開いて可愛くなるのですが、やや唐突な気もします。でもいい映画でした。上映後に監督のトークがありました。それは、同時上映された映画「おとこのこ」のレビューでまとめて報告します。

■ちょっと脱線「私市」がつなぐ大阪と埼玉

主演の私市君ですが「きさいち」と読める方はどのくらいいますか。私の住んでいる大阪府の北東に交野市という市があり、そこに私市という駅があります。ここはハイキングコースの起点で、周辺の小学生は何度となく遠足などでお世話になっているはず。なので「きさいち」は私にとって当り前の読み方でした。

私市の周辺には磐船、星田、天の川など、天から何か降臨したような地名や巨岩遺跡(大したことはありません)があり少しロマンをかき立てられます。ネットで調べると、この大阪の私市一族が武蔵国の埼玉に移り住み、現在の埼玉県にも多く存在する姓だとか。

埼玉と大阪。そんなつながりがあったのですか。そういえば関東といえば蕎麦しかない文化圏だと思っていたのが、住んでみると、うどんなど小麦(いわゆる粉もの)も多いのに驚いた気もします。あとオバちゃんの厚かましさ(なれなれしさ)も大阪と埼玉で似ているような。もちろん、これは個人的な感想です。

■追記。2015年に再度鑑賞、さらにBSで放送

2015年2月、東京・渋谷にてndjc特集として本作品も上映されました。浅野監督の舞台挨拶もあり、「高校生になった私市君とまた映画を撮りたい」旨の発言をされており、是非とも実現して欲しいものです。

また2015年3月にはBSスカパーでndjc全作品が一挙放送され、本作品も録画することが出来ました。ですので、そのキャプチャー写真を少しだけ掲載しますので、ご参考にして頂ければ幸いです。

川辺で父と会った。ランドセルが可愛い
叔父に肩を抱かれる。でも心は開かない





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