ガマゴリ・ネバーアイランド (2012年)

少年映画評価 7点
作品総合評価 5点
少年の出番 90%(実質主役です)
お薦めポイント 現実逃避した少年の夢が意外な結末に
映画情報など 2012年公開/DVD発売済
(写真は、主役の内田流果君)


2013年11月17日、ブリリア ショートショートシアター(横浜)にて鑑賞。「おいしい映画旅行」と題した地域発信型映画の特集上映2日目です。この日は、横浜国際女子マラソンが開催され、いたるところに警備員や交通整理の方々がおられました。そんな中をブリリア ショートショートシアターへ。

■ストーリー

愛知県蒲郡市で暮らす少年、竜郎(内田流果君)は、漁師の父(間寛平さん)と暮しているが、漁師は継ぎたくないと思っている。大人になりたくもなかった。ある日、竜郎は友だち3人と海岸にある小島の神社に遊びに行った。

ここは女性の幽霊が出ると噂されている場所で、いつか探検しようと思っていた場所だ。幽霊はいなかったが、神社の管理人の娘だという、不思議な若い女性が現れた。「子ども達だけで、ここへ来ちゃだめよ」と言いながらも、4人の少年達と遊んでくれた。

隠れんぼ遊びの中で、竜郎は女性と二人きりになった。「家に帰りたくない。大人になりたくない」と言う竜郎をたしなめながらも、女性はニヤッと笑って竜郎の手に口付け。不思議な模様が残った。次の日曜。竜郎は「また小島へ行こう、あの女性と遊ぼうよ」と友だちを誘うが、全員に断られる。それどころか「そんな女性は知らない。お前は夢でも見てたのか」と言われる始末。

仕方なく竜郎は一人で小島へ。女性を探すが誰もいない。じっと待っているうちに眠ってしまった。そして、これが竜郎の少年としての最後の日になった。目を覚ました竜郎は、自宅へ戻るが、どうも様子がおかしい。父は白髪の老人になっている。ふと鏡を見ると、そこに映るのは、大人になった竜郎だった。

■やや消化不良のストーリー

この神社には大人になれない少女(巫女なのか)がいるという蒲郡市の伝説みたいなものがあるそうです。永遠に少女で、永遠の命を持つということは、一見うらやましいのですが、本人にとっては不幸なことなのかもしれません。

ネバーアイランドというのは、ピーターパンに出てくる「ネバーランド」のことなのでしょうが、30分余りくらいの脚本の中では、少し説明不足で、ストーリーが飛んでしまったような印象を持ちましたが、後日、DVDで見直してみると、なかなか趣きのある映画でした。

1時間くらいの中篇にして、もう少し掘下げたストーリーにしていただくと、素晴らしい作品になるような気がします。本音を言えば、少年俳優として旬の時期にはる内田流果君をもっと見ていたかったという事ですけれど。

■少年俳優の輝き

主役を演じた内田流果君は、顔といい、体形といい、声といい、少年俳優としての輝きが真っ盛りでした。幼い頃から映画にも出演しているので、演技力も十分で安心して見ることができます。ゼイタクを言えば、もう少し本格長編映画で主役を演じて欲しかった。

成人した竜郎を演じたのは、川田広樹さん。吉本興業のお笑いタレント(ガレッジセール)。2010年度にNHK教育「天才てれびくん」の司会を担当されていましたが、なかなか誠実な方のように思えて好感を持っていました。

しかし、内田流果君の成長した姿が川田さんとは。ちょっとギャップがありますね。もうちょっとイケメンを人選して欲しかったかな。でもこれはこれでいいかもしれません。

期待が大きかった作品ですが、1回見ただけでは消化不良を起こすかもしれません。それでも、見てよかった作品です。「いつかまた夏に」と合せて何とかDVD(BD)化して欲しいものです。

小島の神社で不思議な女性に会った
横顔はちょっと凛々しい少年


(追記)吉本興業から「地域発信型映画」としてDVDが発売され、本作品も「いつかまた夏に」も収録されています。是非お買い求め下さい。





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