こどもしょくどう (2018年)
少年映画評価 |
8点 |
作品総合評価 |
5点 |
少年の出番 |
90%(少年少女のW主演) |
お薦めポイント |
少年としての最も旬な時期の藤本哉汰君 |
映画情報など |
2019年公開/DVD等未発売 (写真は、主役の藤本哉汰君) |
本作品の製作発表は確か2017年秋頃。それから情報がパタンと無くなり、お蔵入りと思っていたら2019年の3月にようやく公開。長い間待っていた作品でした。TVで子役として活躍していた藤本哉汰君に遂に主役映画が出来たと...
東京公開から大阪は2週遅れ。その間に映画の感想やレビュー、新聞記事などを読み漁っていました。W主演のはずなのに、藤本君を評価する記事は皆無。この作品は鈴木梨央のズバ抜けた演技力で成り立っている...というようなコメントばかりが目立って。
そんな事もあり、かなりモチベーションダウンした状態で鑑賞。皆様のご指摘通り、鈴木梨央さんの演技の素晴らしさには脱帽しました。でも藤本哉汰君も負けず劣らず素晴らしいのです。思春期直前の少年の自然な存在感。彼を見ているだけで十分な映画でした。
善人だけれど、事なかれ主義の両親。初めて反抗したユウト
■ストーリー
東京の下町の食堂の息子ユウト(藤本哉汰)はごく普通の小学生。学校でも目立たず、少年野球チームでも補欠。ユウトの両親は、複雑な家庭のタカシ(浅川蓮)の食事の面倒を見てやっていた。
ユウト達は、河原に駐めた車で父親と暮す少女ミチル(鈴木梨央)とその妹を見た。次にミチルに会ったのはコンビニ。ミチルが万引きに失敗して店員に捕まった。ユウトはこっそりと食べ物をミチルの車に持っていく。
車が不良中学生に壊され、父親が失踪。ユウトは2人を自宅に連れていく。両親は2人を心配するが、どこか腰が引けている。あまり関わり合いにならない方が...ユウト達は2人を連れて両親がいた港町へ出かけるが...
(まだ公開中なのでこれ以上は書けません。)
■重要な話ですが、何か抜けている感じが...
ストーリーはほぼ予想通りの内容でした。全国各地に出来ている子供食堂の活動ではなく、子供食堂というものが出来るに至った前日談のようなもの。とはいえ正直な話、この映画で子供食堂という意義や説得力は、私は感じませんでした。
本当に困っている子、気の弱い子が自分で食堂へ入るのでしょうか。駄菓子屋とか学童保育みたいに、子供の中で常連とかボスが形成されてしまい、結局弱い子は居づらくなってしまうのでは。子供の行動を待つのではなく、大人の方から手を差し伸べる(お節介になっても)仕組みが必要な気がします。
鈴木梨央さん演じる少女は自分から何も行動は起こしません。自殺しようかなどと呟きます。自殺する勇気があるならなぜ警察へ行かないの?と思うのですが、本作品ではその理由(彼女の境遇)が一切示されません。これは計算ずくの脚本ではなく、監督さんの手抜きのように思われてなりません。
■キャストについて
まず鈴木梨央さん。セリフは殆どありませんが、その立ち居振る舞いは少女俳優を超えて、実力派女優さん顔負け。逆にセリフが少ないことが、演技を素晴らしく見せているのかもしれません。でも監督さんやカメラに愛されているなあ...としみじみ思いました。
藤本哉汰君。映画は彼の目線で進行します。つまり観客は藤本君の見ているものを見る訳ですから、自分自身は空気で、相手役の鈴木さんにしか目が行かないのは仕方ありません。小5の役ですが、撮影時は13歳くらい。声変り寸前の少年の美しさが本当に眩しい。
スタイルも抜群。腰の位置が非常に高くて脚が長いのです。この時期に主演映画にめぐり会えた事は本当に良かったと思います。少女への淡い初恋のような想いもしっかり演技。(これに反して少女の方は最後まで少年に対して目もくれない冷たい態度...)
タカシ役の浅川蓮君。いい脇役でした。ただ苛められっ子との設定ですが、どうみてもジャイアン。親にネグレクトされた可哀想な子に見えないのが難点。最後はジャイアンの片鱗を見せてくれますけれど。悪ガキ役の1人に清水在君の名前が。スタダの有名グループの子なのに、ちょっと残念な役。
色々書きましたけれど、本作をまとめれば(泥の河+誰も知らない)/2の3割引きくらいでしょうか。でも藤本哉汰君の代表作として映画史に残る事は本当に嬉しい事です。
ユウトと苛められっ子のタカシ
(ユウト役の藤本哉汰君の少年らしい体形...)
コンビニで万引きをするミチルを見た...
(どうするんだ? 目の表情が豊か)
橋の欄干で夕陽を眺めて佇むユウト
(あまり意味はないのですが絵になるなあ...)
ラスト。ミチル達の乗った車を追いかけるユウト
(いつまで走っても背景は進まず。これも手抜き撮影か...)
(おまけにユウトが必死に追いかけてもミチルは知らん顔)
河原を駆けてゆく4人の少年少女。彼らはどこへいくのだろうか...
(是枝監督の映画を思い出させるシーンが多々ありました)