僕はイエス様が嫌い (2019年)
少年映画評価 |
8点 |
作品総合評価 |
6点 |
少年の出番 |
100%(久々に純粋な少年映画) |
お薦めポイント |
小さなイエス様。2人の少年の関係の変化 |
映画情報など |
2019年公開/DVD等未発売 (写真は、主役の佐藤結良君) |
製作時、監督は現役の大学生。ですから正真正銘の学生映画。それがサンセバスチャン(スペイン)、ストックホルム、ダブリンなどヨーロッパで様々な賞を受賞。日本でも(少しだけ)話題になった作品です。
有名な俳優が出演する訳でもなく、余韻は残るけれどエンタメ性に乏しく、まして学生映画が国内のシネコンで上映される事はありません。そこで海外へ出して評価を貰うことで国内でも認知させる作戦。是枝裕和監督と同じ戦略ですね。
イエス様を茶化したような表現。キリスト教徒の方々が怒るのではとの不安を感じましたが、受賞という事はそれなりに評価されているのでしょうか(イスラム教なら大変かも)。主役の佐藤結良君と友人の大熊理樹君の2人が印象的。これだけでも見る価値があります。
カズマ(大熊理樹)とユラ(佐藤結良)。2人の関係はカムパネルラとジョバンニ...
■ストーリー
小学生のユラ(佐藤結良)は両親と一緒にある北国の町へ引越してきた。祖父が亡くなり祖母1人になった家に住むためだ。地元の小学校へ転校。そこはキリスト教系の学校で礼拝堂や礼拝の時間があった。戸惑うユラ。しかし適当に先生や周囲の生徒たちに合せてひっそりと過ごす。
ある日1人で礼拝堂でお祈り。友達ができますように。すると目の前に小さな小さなイエス様が出現した。その日ちょっとしたきっかけでユラはカズマ(大熊理樹)と友達になった。願いがかなったのか...その後ユラがお祈りするたびにイエス様は現れる。そして願い事は(結果論的ではがあるが)叶う。
ユラとカズマと互いの家に行き来するなど急速に親密になった。カズマは美少年で優しく運動神経も抜群。ユラは少しづつ嫉妬心や対抗心が芽生えてきた。体育のサッカーで次々とシュートを決めるカズマ。ユラはいじけて家へ帰ってしまった。そしてお祈り。何を祈ったのか...カズマは交通事故に...
■友情と嫉妬
祈る、願いをかなえてもらう。その見返りはなにか。そんな宗教的な問いかけではなく、
少年が抱いた友情、嫉妬、犯した過ち。取り返しのつかない悔いを描いたものではと感じました。
映画の最後に「幼くして亡くなった友人にこの映画を捧げる」という意味の1文がありましたので、監督さんの小学生時代の実体験をモチーフにしたものなんだろうと思います。
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」ジョバンニがユラ、カムパネルラがカズマ。列車でカムパネルラが女の子と話すのをジョバンニが悲しそうに妬いている場面が重なります。そしてカムパネルラが死んでしまうのも...
■キャストについて
主役の佐藤結良君。個性的な雰囲気がこの役にピッタリ。一見幼い顔にみえて、声がしっかりと落ち着いているのが素晴らしい。大熊理樹君。さすがスターダストのZeBRA☆REDのメンバーだけに美少年。出番やセリフはそれ程多くはありませんが、いい役でした。
学生映画で制作費は厳しいはずですが、登場する小学生はエキストラも含めて全員上品な制服。これはお金がかかるのでは。監督さんの出身校である青山学院初等部の制服をお借りしたのかもしれません。
一方、小さなイエス様。そのサイズは大林監督「水の旅人 侍KIDS」の武士と同じくらい。演じたのはチャド・マレーンさん。何と吉本興業の芸人さんとか。道理であんまり聖なる感じがしない...すみません。
昔、オレたちひょうきん族という番組の懺悔コーナーでイエス様を演じたのは、5頭身ポッチャリ日本人。それに比べるとチャドさんは8頭身でカッコはいいですけれど。
ユラが礼拝堂で祈っていると小さなイエス様が...
(友だちが出来ますように)
その日、鳥小屋当番のカズマが話しかけてきた。
(君はサッカー好きかい?)
その後もユラが祈るとイエス様が現れた.
(風呂の中でも...願いは叶えらる。つつましく...)
亡き祖父の仏壇に手を合わせる.隣は祖母。
(学校はキリスト教。神社も参拝。家では仏壇)
大熊理樹君と佐藤結良君。大熊君はアイドル系ですなあ...
※後記
これから公開される地区もありますのでネタバレしないようにと思ったのですが、結構バラしてしまいました。すみません。書きませんでしたが怖くて印象に残るシーンも。カズマがトラックにはねられるシーン。最後のお別れ会でのカズマの母親はまるでリングか呪怨か...と思ったら母親役の女優さんは本当に貞子役だったそうで...