ちくわっちゃ! (2025年)
| お薦めポイント |
とにかく主人公の少年が優しくて、真面目で、そして美少年。これが全てです。 |
| 少年の出番 |
ほぼ100%。 |
| 映画情報など |
2025年10月度のニューヨーク国際フィルムアワードで22冠。その他映画祭で上映。U-NEXTで配信中。 写真は主役の井伊巧君。 |
本作品の事は何も知りませんでしたが、U-NEXTで配信があったので鑑賞。43分の短編ですが、正真正銘の少年映画でした。ニューヨーク国際フィルムアワードは毎月開催されて最優秀賞が決定されるとの事。野球で言えば月間MVPでしょうか。それでも世界中から応募がある中で22冠とは。もちろん主演の井伊巧君も最優秀子役俳優賞に輝きました。
下関市の蓋井島にやってきた兄弟。カイ(井伊巧)とヒロ(松本悠希)
小6のカイ(井伊巧)は母と弟ヒロ(松本悠希)の3人家族。母は仕事で忙しいのでカイが料理や家事を行っている。弟ヒロは自分の思い通りにならないとパニックを起こすため、カイが見守っていた。夏休み。カイとヒロは下関市の蓋井島に住む叔母の家で滞在する事になった。
カイは島の美少女キノ(西光里咲)と友だちになった。キノは色々なコンクールで優勝して世界を目指す少女歌手。一方ヒロは叔母の経営する会社のドローンに夢中になる。島の特産であるチクワの美味しさにも触れ、自分の将来の目標が持てないカイの心に灯が見えた。カイは母にお願いをした。この島で暮らしたい。
下関とその沖合にある蓋井島(ふたおいじま)の地元PR映画っぽい部分もありますが、それ以上に主人公の少年カイが素晴らしい。実際にはこんな少年おらんやろ(いないだろう)と思う程の理想的すぎる素直で優しい性格の少年に魅せられました。
働く母親のために家事全般と弟の見守りを一身に背負いながらも笑顔を絶やしません。息抜きはダンスとそれをyoutubeにUPする事。ネットで同い年の少女キリの活躍は見ていました。遠い存在だったキリとまさか友だちになるとは。ここは出来すぎの感もありますが、まあ映画ですから。
しかしカイ自身、自分の将来の夢に確信が持てず悩んでしました。蓋井島のチクワ職人のアドバイス「悩んだらチクワの穴から外を覗いてみろ。特別な世界が見える訳はない。そこから見える世界が全てだ」何か禅問答のようですが「青い鳥」と同じで、夢や希望は遠くではなく自分の身近にあると言いたいのでしょう。
弟のヒロは勝負事などに負けるとパニックに陥ります。病的なパニック症候群とまではいきませんが、過呼吸になったりするので兄のカイが優しく落ち着かせてあげます。そんな兄弟間の優しさ。これは米映画でもよく題材になっており、ニューヨーク国際フィルムアワードではカイとヒロを演じた二人に最優秀演技デュオ賞が贈られました。
ラスト。カイとヒロは自らの希望で移住して蓋井島の小学校に通うことになりました。たぶん母とは離れて叔母の家で暮すのでしょう。これって全国各地の離島では移住者を募っていますので、そのPRかもしれませんけれど。とにかく2025年の最後にいい少年映画に出会えました。
じゃんけんに負けた弟ヒロがパニックに。
兄カイは優しくヒロを落ち着かせる。
家に帰るとカイは母に代って料理を作る。
この楽しそうな顔。何事も前向きな姿がいい。
料理はキュウリを詰めたチクワ。
シンプルだが美味しそう。愛情入り?
お出汁からしっかり作った味噌汁も。
この可愛いドヤ顔。弟や母も大満足。
新下関へ向かう新幹線の車窓。ムービーを撮るのはカイの楽しみだった。
叔母はドローンを使った事業を始めていた。ヒロは操縦に意外な上手さを発揮。虜になった。
蓋井島で美少女キリ、チクワ職人に会い、なにか吹っ切れたカイ。笑顔がいい。
左から美少女キリ、カイ、チクワ職人、ヒロ。
カイは島の名産チクワのプロモーションビデオを作った。
夏休みが終わった新学期。カイは島の小学校の制服を着て登校。
校門の前でキリと会った。思わず顔が緩んでしまう。いいなあ...
※後記
本作はとにかく井伊巧君がメインの少年映画だと私は思いましたが、ネットや映画祭での評価はキリ役の西光里咲さんの方が目立ちます。ニューヨーク国際フィルムアワードでは、大人としての最優秀女優賞と、子役としての最優秀子役女優賞を両方を受賞、他に最優秀メインテーマ賞も。まあ出番は少なくとも演技も達者で美少女ですし。