第2部は、終戦後の混乱期が描かれています。原爆から生き残ったゲン(春田和秀君)と、母(宮城まり子さん)、生まれたばかりの妹、友子の3人は、焼跡を離れ、母の友人をたよって、広島郊外の戦災を受けなかった地区(江波と言っていました)へ疎開した。
原爆の影響でゲンの髪の毛が抜けて落ち込むゲン。でも、拾った帽子をかぶり、「これで問題なし」と、どこまでも前向きなゲン。しかし、疎開先の生活は苦しかった。友人(市原悦子さん)は庇ってくれたが、彼女の姑や子供達は、ゲンたち家族が邪魔で仕方がない。陰湿な苛めが始まった。ぐっとこらえるゲンと母。
そんな時、亡くなった弟シンジにそっくりな浮浪児の隆太(上野郁巳さん)と出会う。隆太の仲間が盗みで捕まったのを機に、隆太はゲンの家にころがり込む。「弟が生き返った」と喜ぶゲンと母。
しかし生活は厳しく、このままでは母子路頭に迷ってしまう。ゲンは仕事を探し始めた(たった7〜8歳の少年がですよ)。幸いにも、大きな屋敷の主人がゲンを雇ってくれた。この屋敷には、被爆で全身ケロイドになった画家の政二(石橋正次さん)が、座敷に隠されており、ゲンたちに政二の世話をさせたのだ。
画家の夢が破れた政二は荒んでいたが、ゲンの力強い生き方に啓発され、再び絵を描き始める。ゲンと隆太もモデルにされた。被爆直後の姿を。世間体を気にする屋敷の主人に反抗して、ゲンは政二を外へ連れ出した。
ケロイドを気味悪がる住人たちの前で、政二は一世一代のカツを入れた。「人間でないのはお前たちだ! 被爆して親のいない子に救いの手すら差し伸べない」やがて政二は亡くなった。ゲン、隆太、母、友子は、疎開先を出て、焼跡に戻ることを決心する。隆太の浮浪児仲間も一緒に。