ノーライフキング (1989年)
少年映画評価 |
6点 |
作品総合評価 |
5点 |
少年の出番 |
100%(堂々主役) |
お薦めポイント |
最後の約10分、街をさまよう少年 |
映画情報など |
1989年公開/ビデオ絶版(写真は主役の高山良君) |
この前のレビューで「ゲームセンターCX」(2014年)を取り上げました。内容はさておいて、懐かしいテレビゲームがテーマでしたので、同じようなものを見たくなりました。そこで思い出したのが本作品。まだレビューを書いていなかった。
時を同じくして書店で文庫本になった「ノーライフキング」(いとうせいこう著)を買い求め、1日で読了。しかし映画はDVD化されていません。中古DVDショップを探すと、レンタル落ちのVHSビデオがあり、少し高かったのですが、衝動買い。
しかしもう一つの障害。VHSビデオデッキを持っていません。別の家に住む家族に借りてなんとか鑑賞。小説とはかなり違う雰囲気でした。
■ストーリー
主人公は小学4年生のマコト(高山良君)。母親と二人暮し。どこにでもいる普通の少年だ。毎日塾に通い、テレビゲームに熱中している。そんな子供達に絶大な人気を持つゲームが「ライフキングの伝説4」。ところがこのゲームの中にノーライフキングという別ゲームが存在し、それを解かないと呪われるという噂が流れ出した。
噂を後押しするように、ゲームに否定的だった小学校の校長が朝礼の最中に脳溢血で急死。小学生達の噂はエスカレートしていった。マコトは友人の克也、実、さとる、あきらの5人で何とかノーライフキングを解こうとする。
一方、加熱する小学生の噂に抗して、大人達はゲーム禁止を強める。ゲームだけでなく、噂の元になるようなものも排除始めた。また小学生の中にも同調するものが現れ、ゲームや消しゴム(キャラクターもの?)が排除のターゲットとなった。まるで「魔女狩り」のように。
マコト達はゲーム没収に抵抗するが、一人一人と脱落。マコトの通う塾は、全員パソコンで授業を受ける当時最先端の塾であるが、その通信を使ってマコトは宣言する「ノーライフキングを解く」さてそれからどうなるかは映画を見て下さい。中古ビデオ屋で見つからない方は、小説を読んで下さいね。(小説の方がずっと奥が深いです)
■都市伝説、小学生の噂ネットワークの威力
この映画が作られたのは1989年、まさにバブルの真っ最中ですが、まだ携帯電話やインターネットは普及していません。一方でファミコンなどの家庭ゲームが爆発的に普及し、子供たちに悪影響?との懸念も起きていました。
そんな小学生達の噂(口コミ)のネットワークは、大人の想像を超えたスピードと影響力を持つと言われたのでした。嘘か本当か判りませんが、こんな話を聞いた事があります。
小学生の口コミをテストするため、ある機関が小学生数人に「高橋名人が死んだ」との嘘の噂を札幌で流したところ、翌日には福岡でも「高橋名人が死んだ」との噂が広がったそうです。注)高橋名人とは、当時小学生に人気のファミコンの名人だそうです。
まあ、上の話は嘘だろうと思います。ゲームに熱中する子供たちを理解できない大人達は、彼らをエイリアンのように思って、こんな作り話ができたのでしょう。
■少年俳優たちについて
主役マコトを演じた高山良君。小説を読んだ時に、想像した少年とほぼピッタリのイメージでした。どこにでもいる平均的な10歳の少年です。本作品でも、感情を押さえたような演技、また最後の約10分間は、一人で街をさまようのですが、その存在感は抜群でした。
マコトの友人4人の中では、実役の山崎康平君。10歳には見えないイケメンです。小説では苛められっ子でしたが、映画では「苛め」描写が全く無かったのが、良かったです。あきら、さとるの兄弟を演じた山崎康平君、峯村康平君、克也役の原田慎也君、それぞれ役にマッチしていました。
もう一人、小説では、大変イヤな奴として描かれていた苛めっ子の望月君。映画では演じた市川浩君が、なかなかイケメンで、そんなにイヤな奴では無かったのが救いです。出番が少ないのも一因ですけれど。
コンピュータ少年、高山良君
市川浩君。原作ほどイヤな奴ではなかった
作品のテーマは今考えると、やや時代と合わない面があるかもしれませんが、なかなか示唆に富んだ内容でもあります。できれば、DVD化して、多くの皆様に見て欲しいものです。
※VCD(ビデオCD)という、今は無くなった規格で発売されていた事もあるようです。