ドンマイ (1990年)
少年映画評価 |
6点 |
作品総合評価 |
5点 |
少年の出番 |
90%(主役) |
お薦めポイント |
正統派少年野球映画 |
映画情報など |
1990年公開/DVD・ビデオ未発売 |
■下町の野球少年
テレビ東京開局25周年記念として制作された映画です。大きなドラマの展開はないのですが、どこか「寅さん」の世界を思わせる作品でした。
■ストーリー
東京の下町「ちどり横丁」(江東区か墨田区あたり)の少年野球チーム「ちどりボーイズ」は負けしか知らない弱小チーム。ところが、田舎から超豪速球を投げる少年弘(池上竜馬君)がやってきてチームに加わる。
実は、弘の父は東京へ出稼ぎに来て、ちどり横丁の焼鳥店で働いていたが、不注意から火事を出して亡くなっていた。弘の母は父の不始末に責任を感じて上京し、その焼鳥店へ奉公することになった。
弘の豪速球でチームは連戦連勝し、ちどりボーイズの父兄達は盛り上がる。しかしある時、弘は亡くなった父の悪い噂を聞き、急に沈み込んでしまい、野球を放り出す。
てんやわんや騒動の中で、焼鳥屋の女将は弘に火事の本当の原因を告白する。実は父の過失ではなかった。それを聞いた弘は、自分を取り戻して豪速球がよみがえり、とうとう優勝する。
■池上竜馬君
地方映画では、両親のどちらかを亡くした少年が、田舎へ戻って学校で苛められながらも、故郷の風物に癒されていく。そういうのがパターンですが、この映画は全く逆で、地方の少年が父を亡くして、東京へ出てきて活躍するものです。
主役は、新人の池上竜馬君でした。竜馬という男らしい名前の示すように、精悍な顔つきのスポーツ少年でした。決して美少年ではありませんが、爽やかな汗が似合う少年です(今の俳優でいえば、森田直幸君を少し無口にしたような感じです)。残念ながらこの映画1本で終わったのでしょうか。ネットで検索しても出てきません。やはり子役の世界も厳しいものなんでしょう。
■少年野球はオヤジの血を熱くする
少年スポーツといえば、この映画の90年くらいからサッカーが野球を人気で圧倒するようになったようですが、下町ではやっぱり野球なんだ、と少しホッとした事を覚えています。私は野球王国の大阪で育ったものですから、日曜ともなると河川敷の野球場には少年野球の練習や試合が目白押し。そこで聞こえてくるのは少年達の黄色い声よりも、オヤジ連中のダミ声でした。
コーチなのか、監督なのか知りませんが、自分の腕?は置いといて、少年達をアゴの先で使うことに陶酔しているようで、いい感じはしません。今でも、自分の知り合いに、息子の少年野球に入れ込んでいる男が数名います。土日は車に道具や飲料水などを積込んで、息子の追っかけをしていようですが、父親の運動神経を客観的にみれば「アンタの息子がプロなんて到底ムリ」と思うのですが(まあ夢を追うのは素晴らしいことですから)
話を戻して。この映画の舞台は東京です。何となく東京では野球なんてバカにされているのか、と変な偏見があったのですが、東京下町の熊さん、八っつぁん、寅さんの世界でも、子供達の野球チームに入れ込んでいるのが、正直言って嬉しかったです。やっぱり東京でも、大阪でも、日本各地で野球はオヤジを熱くするスポーツであり続けて欲しい。
前述しましたように、大したドラマはないのですが、天賦の才を持つ少年が悩みを乗り越えて野球に打ち込むという、シンプルなストーリーが好感でした。永島敏行、江夏豊といった野球の似合う大人、またカケフ君という当時のTVバラエティに出ていた子役なども適当にいい味を出していたのではと思います。何よりも、チームに美少女や紅一点というのがいないのが良かったかな。
■忘却の彼方に
この映画を観たのは、大阪はミナミの千日前にあった「千日会館」という単館系の映画館で鑑賞しました。ごたぶんもれず、この映画館も今は亡き「思い出の映画館」に。
この時、購入したパンフレットは、ホームベースを模した変形サイズの大型のもので、カバンに収まりきれずに少しはみ出し、帰りの電車の中で恥ずかしかった事を覚えています。
そのせいか、パンフレットも早々に処分してしまいましたので、映画の細部はどんな内容だったか忘れてしまっています(表紙だけはスキャナーで取り込んでデータだけ残っていますが)。ビデオもなく、TV放送もあったのでしょうか。何とかもう一度みてみたいものです。