信号ばか (1990年)
少年映画評価 |
7点 |
作品総合評価 |
7点 |
少年の出番 |
100%(主役) |
お薦めポイント |
母の形見の黄色い旗 |
映画情報など |
1990年公開/映像発売なし (写真は、故・前田武彦氏と町田英明君) |
「交通ルールは守りましょう」20年前の作品ですが、本当にマイナーな映画です。劇場で見た方は殆どいないかもしれません。でもひょっとすると、今でも学校の体育館や、町の集会所などで上映されているのかもしれません。
今日も勇は、亡き母の黄色い旗を持って横断歩道に立つ
■ストーリー
主人公は小学6年生の勇(町田英明君)。勇は幼い時に母親を交通事故で亡くした。その事が忘れられず、交通ルールを守らない人間を許せなくなってしまった。
今日も勇は、母の形見の黄色い旗を持って信号を守らせる。大人にだって平気で注意する。そんな勇のことを、みんなは信号ばかと呼んでいるが、勇は気にしない。
そんな勇に、新しい母が出来ることになった。絶対に認めない!と拒絶する勇。でも新しい母も家族を交通事故で亡くしていた事を知った時、次第に心を開く勇。やがて「相手の気持ちを思いやる」ことの重要性を知った勇は、自分のやり方の間違いに気づくのだった。
■意外に豪華なキャスト
この映画を見たのは、東京・キネカ大森。出張で仕事が終わった夜、スーパー西友5階にあるシネコンの走りみたいな映画館へ行きました。チケット売場の係員に「間違いありませんね」と聞き返された記憶が残っています。観客は2,3人で、若い男(当時は私も若かった)が1人で見るのを不審に思われたのかも。
主役の町田英明君の事は何も知りませんが、爽やかな少年俳優でした。父親が菅原文太さん、その他、前田武彦さん(最近は姿をみません)など、この手の映画としては有名なタレントさんが出演されています。
■残念なことに
こういう映画ですから、テレビで放映されることも、ビデオやDVDが発売されることもありません。従って、当時の記憶だけが頼りなのですが、もう細部は思い出せません。幸いにしてパンフレットは購入したのですが、写真だけスキャンして、処分してしまっており、残念なことをしました。
こういうマイナーな作品こそ、社会の貴重な財産として、アーカイブスというのですか、DVDとして発売して欲しいものです。どうかお願い致します。
■(併映)映画「ヒロシマという名の少年」
おまけです。とはいえ、こちらも素晴らしい映画です。「信号ばか」の前に、同じ菅田良哉監督の「ヒロシマという名の少年」という約45分の短編映画が上映されました。どうやら、この2本はセットで上映されるケースが多いようです。(1987年、菅田良哉監督作品)
こちらの方は資料もなく、独立したレビューまでは書けませんので、映画と同じくレビューも「併映」させて頂きます。
■ストーリー
広島に原爆が投下されて30数年たった8月6日。ひとりの少年が広島の町を歩き始めた。
少年は平和資料館に展示された3人の遺品を集めて1人の少年として蘇ったのだ。
ヒロシマと名づけられた少年は、あの日、帰るはずだった母の家を探して、さまよううちにある少女と出会う。少女は一緒に母を探してあげるのだが。
ナレーションを吉永小百合さんが担当しておられます。戦争の悲劇を語るのは吉永小百合さんのライフワークなんでしょうね。映画は淡々と進みますが、非常に重いものが残ります。
あるはずの未来を突然失った少年たち。まだ母が恋しい年頃。あの世でもまだ母に会えていないのでしょうか。こんなことが二度と起きないことを願って止みません。
〜追伸〜
本レビューをUPしました後、映画「信号ばか」の監督さんをご存知という方からメールを頂きました。有難うございました。「マイナー映画」なんて書いて本当に申し訳ございません。大手映画会社やテレビ局が製作して、シネコンにかかる安易な映画なんかより、「信号ばか」、「ヒロシマという名の少年」の方がずっとずっと価値があると思っています。今でも2本セットで各地で上映されているとの事ですので、また機会があれば鑑賞したいと思います。