タスマニア物語 (1990年)
少年映画評価 |
5点 |
作品総合評価 |
5点 |
少年の出番 |
100%(主役) |
お薦めポイント |
タスマニアの雄大で美しい風景 |
映画情報など |
1990年公開/DVD発売済 |
フジテレビなどテレビ局がお得意の、動物や自然をテーマにしたファミリー向け映画の一つ。ワンパターンの話が多いのですが、テレビ局が東宝等とタイアップして、その財力?でもって、テレビやマスコミを総動員してCMや宣伝をかけますので、興行的には、それなりのヒットを確保しているようです。
キタキツネとか、お犬様、お猫様とか。この手の映画は、はっきり言って嫌いでした。本作品もその系列かと思って見ていませんでした。毎度同じパターンですが、BSで何度か放送があり、適当に「流し見」していたのですが、今回はレビューのため、少し真剣に鑑賞しました。
■ストーリー
小学校を卒業したばかりの正一(多賀基史君)が主人公。母は病気で亡くなった。中学入学式までの春休み、正一は、離婚した父(田中邦衛さん)に会いにオーストラリアに向かった。
父は会社を退職し、南の果てのタスマニア島で自然保護活動をしていた。会社からの連絡で、父の知人の女性(薬師丸ひろ子さん)が現れ、タスマニアに連れていって貰うことになったが、そこに在留邦人の少年ミノル(横尾健太郎君)が現れ、なんと一緒にタスマニアまでついてきた。
会社人間だった父。しかし久し振りに会った父は以前と全く違っていた。絶滅したと噂されるタスマニア・タイガーを探し求める変人だった。(TVドラマ「北の国から」の五郎そのまま)せっかく会いに来た正一だったが、父とは打ち解ける事が出来ない。
一方、ミノルは家出してきた事がばれ、連れ戻される事になったが、その前日の夜、正一とミノルは森へ逃げ出す。しかし、結局は連れ戻されてしまう。父と二人だけになった正一。父母の離婚の事情などを盗み聞きするうちに、次第に父の心が判るようになってきた。そして、日本へ戻る前日、二人でタスマニア・タイガーを探しに行くが。
■素晴らしい自然、音楽も秀逸、キャストも一流
とにかくお金はかかっています。田中邦衛さん、薬師丸ひろ子さんなど俳優も一流。タスマニアの雄大な風景を見るだけで十分かも。音楽監督があの久石譲氏ですので、風景とマッチしたBGMが本当に素晴らしい。しかし脚本については、TVドラマ「北の国から」の舞台をオーストラリアに移して、長期間ドラマを2時間足らずの映画に集約しただけ。
そのため特に前半、ご都合主義の部分が目立ちます。まず、12歳の少年が何の準備もせず日本を出発し、いきなりシドニーの父の勤務先へ行き、その場で「父は退職」なんて聞かされるなんて。しかもそこへ都合よく、知人の女性が現れ、おまけに家出少年まで。
いやいや固いことは言いません。元々のドラマ「北の国から」の出来がいいので、それをマネた本作品も、それなりに楽しめます。さらに、もっと昔のドラマ「太陽は沈まず」(今テレビで再ブレイク中の坂上忍さんが主役少年)とも全く同じシテュエーションと言っていいでしょう。
オーストラリアにいるのに、出てくるのは9割日本人だけ、といのが、かえって潔くて好きです。変に現地の外国人少年や少女を出すと、違和感を払拭できないので。
ミノルと正一。正一の服装、おじさんですなあ
女の子と二人だけでボート
■少年俳優について
堂々の主役は多賀基史君。当時、テレビの特撮番組なんかに出演しているのをチラっと見た記憶があるのですが、よく覚えていません。本作品では、父親に反発しながらも最後は慕う役を、しっかり演じていました。あえて注文をつけるなら、もう少しスリムだったらと(お腹が出て、ややメタボ気味なのが残念)
特に残念なのが正一の服装。美しい南国タスマニアの風景の中で、ミスマッチとも言えるほど野暮ったいのです。中学生なので半ズボンではなくても、中年オヤジのようなツータックの太めズボンは不細工。(ミノルのハーフパンツの方がスッキリしてずっとマシ。)
気になったシーンとして「ノースエンド先生の部屋」でもレビューがありますが、女の子と二人でボートに乗っていて、急に色気づく(テント?)シーンがあります。ちょっと不自然すぎるかなあ。まあ青春の入口ですから、仕方ありませんけど。
例によって辛口なことも書きましたが、思っていた以上に面白い作品でした。フジテレビ作品という先入観に囚われて食わず嫌いになるのは、結局、損なことですね。やはり映画は見なければ判りません。テレビ局でも、またこんな少年映画を作って下さいね。