北海道のJRローカル線である標別線は、1年後の廃線が決まり、運転士の谷木政夫(三浦友和さん)の一家は、職を失おうとしている。息子の谷木健一(山田哲平君)は、ある秋の日、近所の農家の織屋太郎(川谷拓三さん)に連れられて、山でエゾシカの群れを見て、鹿に興味を持つ。
その翌年の春、健一は、昨年みた鹿の一頭がジープに撥ねられるのを目撃する。傷ついた鹿を追いかけて山へ入った健一は、鹿が死んでいるのを見てショックを受ける。その時、そばに、生まれたばかりの仔鹿がいるのを発見し、喜んで抱いて連れて帰る。しかし家で飼うことはできないので、使わなくなった駅舎にそっと隠すのだった。
野生の仔鹿は、健一の与えるミルクを飲もうとしないが、健一の我慢強い努力が実り、とうとうミルクを飲んだのだ。健一は鹿を「ラッキー」と名づけて、自分の子供のように可愛がる。しかしある日、駅舎でボヤを出してしまい、ラッキーを飼っている事がバレ、両親から、すぐ山に返せ、と命じられる。
この窮地を救ってくれたのは、織屋太郎だった。太郎は健一がこっそり鹿を飼っている事を知り、野生動物の飼育許可証をとっており、ラッキーが成長する秋まで、との約束で健一が育てるよう、両親を説得してくれた。それからは、晴れて天下御免?でラッキーと一緒に暮らす健一。ラッキーはすくすく育ち、短い北海道の夏は健一にとって忘れらない、楽しい時間だった。
夏の終り、ラッキーが病気に罹り、急速に衰弱する。獣医にかかるが快復しない。そんな時、クラスの友人から山の奥に生えている「行者ニンニク」が特効薬だと聞かされ、友人達と山へ入るが、道に迷ってしまう。両親、警察、村の人の協力で健一達は無事に保護されるが、健一の母はこの事件ですっかり参ってしまい、ラッキーを手放すよう詰め寄るが、父や太郎が説得してくれた。
やがて、また秋が来た。父の運転士として最後の日、健一はラッキーを山に返しに行く。