小学4年生のタカシ(日高圭智君)は、鉄棒の逆上りが出来ない。逆上りが何の役に立つのか判らないが、先生に「逆上りから逃げるヤツは、大人になっても、人生から逃げるダメ人間」と脅される。
クラスの中で逆上りの出来ない5人の生徒は、放課後に特訓することになった。でもタカシは乗り気になれない。だって「ちゃんとした大人になる」って言ったって。町の電気店を営むタカシの父は、交通事故にあってから、なんの仕事もせずに、2階の部屋の窓辺に座って、外を眺めるだけ。まるで廃人だ。
母も若いだけで、何のとりえもない。父がクレヨンで絵を描いた。タカシが「これ何」と聞くと、小学生時代のエピソードを話してくれた。妹が落書きした絵が賞を貰ったんだって。自分で努力とかしたって関係ない。虚しい話だ。
母も、おばあちゃんの話をしてくれた。子供のころ、母(タカシにとって祖母)は病気でいつも寝ていて、手が冷たくて「ヘビ女」(楳図かずおさんの少女恐怖漫画)だと思っていたんだって。これも虚しい話だった。
ある日突然、父は女子高生とカラオケボックスに閉じこもった。窓から見える空地で、いつもリンチにあっていた女子高生だった。しかし母が血相を変えてカラオケボックスの扉を壊し、父を連れて帰った。ああ虚しい。
さて、逆上り。一人出来き、また一人出来るようになり、タカシとクラス一番の美少女だけが残った。タカシは美少女に声をかけるが「ふん!あんたなんかと一緒にしないでよ」と嫌悪感を隠さない。そして遂に、美少女も逆上りが出来た。そして体育の時間、先生の前で順番にテストされる事になった。タカシはピンチ。しかし意外な結末を迎えることになる。