ひまわり (2000年)
少年映画評価 |
5点 |
作品総合評価 |
7点 |
少年の出番 |
15%(主人公の少年時代) |
お薦めポイント |
回想中の小学生時代の主人公 |
映画情報など |
2000年公開/DVD発売済 |
■行定勲監督のデビュー作品
今や超売れっ子監督の行定勲氏の劇場デビュー作品。実際には本作品の前にも何本か監督作品があるようですが、劇場公開されたのはこの作品が初めてらしいです。
■ストーリー
主人公の青年は恋人と同棲中という自堕落な生活をおくっている。ある日、小学校の同級生だった女性(麻生久美子さん)が海で行方不明になり、そのまま遺体のない状態で葬儀が行われる事になり、帰省する。その葬儀の席に集まった人間たちが、生前の麻生久美子のエピソードを語り合いながら一夜を過していく。
主人公は小学生時代(佐々木和徳君)、彼女に関心(淡い恋心)を持っていたが、それを口にする事が出来ず、それどころか靴を隠したり意地悪をしてしまう。彼女が行方不明になる直前に電話を貰った事もあり、自分の事を想っていたんだ、と確信する。
■佐々木和徳君
主人公の小学生時代を演じるのが、佐々木和徳君です。回想の中でしか登場しませんので、セリフも全くありませんが、非常に存在感はあります。
同時期に公開された映画「NAGISA」とほぼ同じような制服スタイルで登場しています。もしかして同じ衣装を使い回ししているのかもしれません。本作品より少し前の映画「しあわせ家族計画」に出ていた頃は、まだ可愛い子役でしたが、この作品ではシャープな感じの少年になっています。
子役を卒業しても俳優は続けられおり、青春モノ映画でバイプレイヤーとして活躍されているようです。岩松孝二監督の映画「17歳の風景」で、ほんの少しだけ出演されていたのを見ましたが、かなり印象が変っていました(地味になっていました)。長澤雅彦監督の映画「青空のゆくえ」にも出演されていたようですが、これは観ていません。
子役から青年になってしまうと、なかなか活躍できないケースが多いように聞いています。地味な役や、端役でも我慢して地道に演じていれば、きっといい役にもめぐり合えると思いますので、頑張って欲しいものです。
■自分だけは
少年映画として特筆すべき点は少ないのですが、脚本や作品に、さすがだなあと、才能を感じるのは、出てくる男性の心情を、非常にうまく描いている点です。
死んだ麻生久美子と接点を持っていた男性が何人も登場しますが、みんな彼女に気のないようなフリをしながらも「自分こそ彼女にとって重要な人間だった」という事を主張しているような展開が面白いのです。
主人公の青年もその一人なんですが、彼だけは思い込みでなく、本命の彼氏だったのでしょうか?それともやはり自尊心だけ高い男の一人に過ぎなかったのでしょうか。
男はみんな(たとえ不細工でも)自分だけは特別の存在であるという願望を持っている事を、外からみると愚かしいようで、反省させられる映画でした。もちろんこれは男だけでなく女性もそうなんでしょう。いや女性の方がこういう願望がずっと強いのかもしれません。