ZOO (2005年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 5点
少年の出番 100%(5話中の2話)
お薦めポイント 二大子役がそれぞれ好演
映画情報など 2005年公開/DVD発売済


■乙一氏のオムニバス作品

若手の人気作家乙一(おついち)氏の短編5作を、それぞれ5人の監督が担当して製作したオムニバス映画。ホラー+SF風味のファンタジー作品といった感じの作品の中で、少年映画と認定したのは「SEVEN ROOMS」と「SO-far そ・ふぁー」の2本です。

この2本を、それぞれ別の作品としてレビューを書こうとも思ったのですが、やはり一連の中でレビューした方がいいので、2本まとめて紹介します。

■ストーリー(SEVEN ROOMS)

ある日突然気がつくと、姉(市川由衣さん)と弟(須賀健太君)の二人は、コンクリートで囲まれた小部屋に監禁されていた。どんな経緯でこの状況に到ったかは全く説明がありません。(映画「SAW(ソウ)」と同じような感じ)

部屋には閉ざされた鉄の扉と排水溝があるだけ。姉は弟に、排水溝に潜って隣の部屋がどうなっているか調べてくるよう、高圧的な口調で命令する。弟がしぶしぶ下着1枚になって排水溝に潜って調べてきたところ、他に6つの同じような部屋があり、6人の女性が監禁されている。更に姉の命令で調べて行くうちに、1日1人が殺され、別の人間に変わっている事がわかった。

つまり7室あるので、7日目には殺されてしまうのだ!姉は、弟が別の部屋に移動できるという状況を利用し、一計を案じて、殺人者と対抗することにした。それは姉が身を捨てて



■SEVEN ROOMS と須賀健太君

気の強い姉に抗することが出来ない、少し気弱な弟をうまく演じていました。パンツ1枚でビショ濡れになっての熱演も、もう見れることはないでしょう。(と思っていたら2014年「スイートプールサイド」でまた裸)

ところで姿の見えない殺人犯ですが、1室に1人の若い女性ばかりを監禁していることから「切り裂きジャック」や「青髭」のような偏執狂ということでしょう。しかしなぜ?この部屋だけ姉弟を監禁したのでしょう。姉だけ監禁して、弟は処分すればよかったのに。なんて事を考えていました。

あまりに突っ込んでも仕方ありませんが、この弟の存在が、このショートストーリーがマンネリにならず、ピリッとさせた成功要因だと思います。


■ストーリー(SO-far そ・ふぁー)

(神木隆之介君)は、父(杉本哲太さん)と母(鈴木杏樹さん)の3人で、幸せで楽しく暮らしていたんだ。ところが、ある時から、父さんは母さんが目の前にいるのに「母さんは死んだ」と思って見えなくなってしまった。

母さんも「父さんは死んだ」と思って、父さんのことが見えないらしいんだ。二人を同時に見れるのは僕だけになってしまったんだ。僕は、何とか父さんと母さんの間に立って、前のように二人を繋ごうと頑張ったんだ。しかし事実は。(主人公の「僕」の独白ふうにストーリー紹介してみました。でも文才ないですねえ

■SO-far そ・ふぁー と神木隆之介君

神木隆之介君については、もう何も言う事はありません。この映画の時点では、まるで女の子のような可愛さで、演技も子供とは思えない、深い眼差しが印象的でした。

こういう心理表現が必要な役柄で、しかも不自然にならず、嫌味にならず、こなせるのは神木君しかいないでしょうね。今の若手女優でも数える程しかいない気もします。

さて、この映画のDVD特典映像(メイキング)に神木君と両親役の杉本さん、鈴木さんとのエピソードが収録されているのですが、神木君が父親役の杉本さんにちょっかいを出しているシーンが可愛かったです。

普通の少年俳優ならオジさん俳優は敬遠するものでしょう、ましてや少し怖い顔の杉本哲太さんですから。それを臆せず、杉本さんに絡んでいくところがタダ者ではなかったんでしょうね。

■その他

今年(2008年)、また乙一氏原作の「死にぞこないの青」が、須賀健太君主演で公開されますが、これはどうでしょう。乙一氏の作品は、短編(ショートストーリー)の方がキレ味が良いようにも思いますので、ZOOの続編を、様々な役者さん(子役も含めて)で作って欲しいものです。





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