2005年度のPFF(ぴあフィルムフェスティバル)で審査員特別賞を受賞した作品。DVDにも収録されており、少年が主役との事で期待して観たのですが。ちょっとついていけない作品でした。
ストーリーは簡単に説明できないというか、筋があるような、無いような作品です。主人公は私立小学校に通う少年(角田紳太朗君)。彼の父親は少年の脚に欲情する変態オヤジ、母親は他人の家の鉢植えを盗んではコレクションする病気持ち。当然のことながら家族は半ば崩壊している。
少年が唯一、気を許せるのが幼なじみの少女。2人はビニール袋をかぶって顔を隠し(目の部分は穴を開けている)、ちょっとしたイタズラをしたり、じゃれあって遊ぶのが気晴らし。少女は母と2人暮しだが、母は男狂い(不穏当な表現ですみません。)のため、彼女もまた孤独で、心に傷をかかえている。
ある日、変態オヤジは、息子が少女と遊んでいる現場を目撃し激怒する。「公立小学校に通っているような子と遊んではいけない!」しかしその晩もオヤジは息子の布団の中に入ってきて、脚を愛撫するという変態行為を止めない。
そんな家族に愛想の尽きた少年は、少女と2人で反撃に出たのだった。(正直言って、なぜあれが反撃なのか、映画では意味が判りませんでしたが)
同じPFFの入賞作品「single」では、非常にオーソドックスな脚本の中に、若い監督独特の瑞々しい感覚がみえて、自分としては高評価だったのですが、この作品は、奇をてらいすぎたような演出が多く、ちょっと自分には合いませんでした。
学生など若い人は、どうしても何かをシンボルとして表現するような、芸術的なのか、前衛的なのか、そんな表現法を好むのでしょうね。絵画でいえば、静物や人物画をデッサンするより、ダリやシャガールのようなシュールな絵を描きたくなるのと同じ感覚でしょうか。
故寺山修司さんの初期の実験映画シリーズも同じような雰囲気でしたが、やっぱり映画作品というよりも、学生のお遊びノートみたいな印象でした。この作品の女性監督さんも、今後はきっと普通の映画を撮るのだろうと思いますが、よく考えてほしいものです。
主役の子供たちは、よく頑張っていたと思います。主役の角田君は、足に赤いペデキュアを塗られたり、脚を舐められたり、ちょっと大変な役でしたが、キリっとした表情が印象に残りました。少女役の子もちょっと気だるい表情が良かったと思います。もう少し普通の脚本の映画だったら良かったんですけどね。(なお、タイトルは「BAMBI」と「BONE」の間にハートマークがあります。)