コトリタチノ楽園 (2006年)

少年映画評価 7点
作品総合評価 4点
少年の出番 100%(主役)
お薦めポイント とにかく秦透哉君が可愛い
映画情報など 2006年公開/DVD発売中(写真は秦透哉君)


秦透哉(はた とうや)君が出演した唯一の映画作品ということは知っていましたが、上映を見る機会がなく、結局、DVDで鑑賞したものです。ペットと人間をテーマにした中篇(50〜60分以内)映画を6人の監督が競作したシリーズ作品の1つとのこと。

笑顔がいいなあ
■ストーリー

小さなバンで各地を巡る移動動物園を営む母、エイチ(秦透哉君)とココロの兄妹。動物園と言ったって山羊、豚、ウサギなどのシケた?動物だけ。エイチは学校にも行っていないようだ。

この母親がクセ者。動物園だけで生活なんか出来る訳がないので、飼えなくなったペットを有料で引き取る仕事もしている。引き取ったペットは森や川に捨てるだけ。それでも借金が返せず、変な外人の取立屋が3人を追いかけてくる。エイチも母には愛想が尽きてしまった。

ある日、エイチは草むらで倒れているアサキという女性を見つけた。素性の判らないアサキはそのまま移動動物園の家族に加わった。と思ったら、今度は母親が男と駆け落ちしてしまったのだ。エイチ、妹、そして変な女アサキの3人が残され、移動動物園を続けていく。

そんな時、今度は父親を見かけた。父親は何と指名手配中の犯罪者だ(とんでもない家族)。しかし父親はエイチを見ても息子とは気づかない。エイチは失望。そして公衆電話へ。何と警察に通報しちゃった。エイチは移動生活を終ろうと決意する。兄妹で施設へ行くのだ。

しかし変な女アサキは病院を脱走した重病患者だった事が判り、彼女の剣幕に押されてしばらく生活を続けることに。いつの間にか変な外人の取立屋も仲間になっている。やがて男に捨てられてボコボコになった母親が戻ってきた。エイチは母親を許すしかなかった。そしてアサキも旅立って行った。

■とにかく秦透哉くん

ストーリーを文章にしてみるとそうでもないのですが、映画の脚本としては、どうも中途半端な印象を拭えません。物語は秦透哉君の目線で進行し、ナレーションも担当しているのですが、キー(ウー)マンは、アサキという女性。でも彼女の行動が不自然すぎて、映画そのものに共感を持つことができません。

なので興味は少年俳優である秦透哉くんだけ。少し幼く見えますが、撮影時は小学6年生との事ですから、演技力としては安定感が感じられます。(余談ですが、彼が中学3年生になって、NHK教育番組に出演していたのを見た事がありますが、まだ童顔でした。)

こんな事を言って語弊があるかもしれませんが、主演の少年俳優が美形であれば、それだけで安心感があります。たとえ映画の内容が今一つであっても。もちろん美少年俳優が出ていれば全てOKなんて事ではありませんよ。(ただ、大きなアドバンテージがあることは事実。女優さんも同じです)

例えば本作品でも兄妹という事で、幼い妹役の大変可愛い女の子が出演しています。こんな場合大抵、兄ちゃんの影は薄くなります。しかし秦君の可愛さは、妹の前でも、美女アサキの前でも色あせることはなく、ある意味安心して見ることができました。

これがもし普通の子(可愛いさでは女の子に劣る)であれば、演技力で存在感をカバーできる実力が必要です。とはいえ本当は、もう少しいい作品に出演して貰いたかった。まあ予算も限られた小作品ですので、仕方ないのかもしれません。

父親に幻滅し警察に通報。その虚しい表情
私も秦君に耳掃除して貰いたい
(ちょっと手元が怖いけど)

■映画について

少し批判的な意見を書いてきましたが、惜しい作品でもあります。1時間に満たない長さですので、やはりテーマを絞り込まないと散漫になります。主人公の少年、母親、病院を脱走した女性、おまけに逃走中の父親まで。どれも掘下げが浅いので、あまり感動につながらないのです。

移動動物園というロードムービー。学校へも行かない兄妹。この設定は非常に面白いと思いますので、監督さん、是非今度は長編でリメイクして欲しいものです。また魅力的な少年俳優を見つけて。





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