斬 KILL(こども侍) (2008年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 3点(2話の「こども侍」だけなら6点)
少年の出番 25%(4話中1話の主役)
お薦めポイント 溝口琢也君の素晴らしい少年剣士ぶり
映画情報など 2008年公開/DVD発売中


2008年の東京国際映画祭の「ある視点部門」で上映された後、全国公開されたようですが、当時は全く知りませんでした。2009年のNHK大河ドラマ「天地人」で長尾喜平次の少年時代役として、加藤清史郎君と一緒にスポットを浴びることになり、その時、本作品にも出演していた事を知りました。

DVDが出たら見よう、そう思っているうちに忘れてしまい、最近になって思い出し、あわてて中古DVDを購入し、ここでレビューさせていただきます。

これぞ少年剣士。本当にかっこいい
■ストーリー(1,3,4話)

約20分の短編4話からなるオムニバス映画で、4人の監督さんが製作、総監督は押井守さん。まず、少年映画でない3作品をごく簡単に紹介しておきます。

■1話「キリコ」 監督:辻本貴則
女殺し屋とその妹が、暴力組織に対して復讐する話。単に、セーラー服の女子高生が日本刀を振り回すシーンを撮りたかっただけ。あまり話の内容はありません。

■3話「妖刀射程」 監督:田原 実
伝説の妖刀を手に入れた、明治時代の陸軍兵士と、現代の自衛隊員が、時間を超えて対決する。非常に迫力あるバトルシーンであるが、チャンバラではなく仮面ライダー風特撮もの。

■4話「ASSAULTGIRL2」 監督:押井 守
女性二人が剣を抜いて戦う。それだけ。なんのストーリーもありません。<二人は天使だったのか、最後は飛んでいきます。特撮にお金はかかっていそう<ですが、内容は空虚。

■ストーリー(2話 こども侍)

監督は深作健太さん。本レビューのメインの作品です。4作品中、最も映画らしい作品でしたが、逆にもっともお金が少ないようで、画面は、まるで大昔の8mmフィルムで撮影したようなセピア調で、ご丁寧にもキズや、色あせ、まで再現して、超低画質にしてくれています。

おまけに無声映画との設定で、セリフは全て女流活弁士の山崎バニラさん。アニメ風の口調(初音ミク風)には、最初かなり違和感を感じました。以上、ご託はこれくらいにして、ごく簡単にストーリーを紹介。

主人公は小学6年生の龍太郎(溝口琢也君)。武士の家系を引く剣術家だった父に、武士の子として厳しく育てられてきたが、その父が亡くなり、母と妹と3人で新しい町へやってきた。

新しい学校では、人相の悪いボスガキを中心に、取り巻きのクズガキ連中がクラスを仕切っていた。イジメられていた少年を助けようとした龍太郎を、悪ガキ連中がボコボコにする。

龍太郎は武士なので、毎日刀を背負って登校(ナンセンスですが、映画ですので)しているが、もう刀は抜かないと心に誓っており、悪ガキ連中に何をされようとも、ぐっと耐えて我慢していた。しかし、幼い妹を人質にして「決闘」を強要された龍太郎は、ついに立ち上がった。

■ワンパターンですが、基本に忠実な脚本

20分ですけれど、昔ながらのチャンバラ劇(西部劇も同じですが)のポイントを全て押さえて、しっかり作品になっています。主人公は、悪人の酷い仕打ちに耐えて、耐えて。そして最後に立ち上がり、バッタバッタと悪人どもを蹴散らします。すか〜っと爽快な後味。

それにしても、剣士は美少年が似合います。本作品の1話や4話では、女子高生や女性が剣を振り回しますが、どうしても違和感があります。幼いけれど、溝口琢也君の凛々しさには到底及びません。(あくまで私の主観であり、他の方はまた別かもしれませんけれど)

■少年剣士の活躍をご覧あれ

時代背景は平成の現代ですが、時代劇のように作られており、最後の決闘シーンでは、子供同志で殺し合いが行われます。血しぶきが飛び散ったりと、本来なら、とんでもないバイオレンス映画。

しかし、そこは昔ながらのチャンバラ劇で、リアリティがありませんので、そこまで目くじらを立てる気にもなりません。ただこの辺り、子供の暴力劇という点で「バトル・ロワイヤル」と通じるものがあるのかもしれません。

映画のメイキングで、脇役(斬られて死んでいく役)を演じた子供達が、楽しそうに「僕は真っ二つに斬られるんですよ!見て下さいね、3秒くらいだけど」と話している姿が印象的でした。

もうこれ以上は何も書く必要はありませんので、少しキャプチャー写真で、映画の雰囲気を味わい下さい。まだDVDもありますので、気になられた方は是非ともお買い求め下さい。

前半はクラスの悪ガキの責めに耐えに耐える
悪ガキにパンツ1枚にされたクラスメイト
(パンツ姿は溝口君ではありません。念のため)


遂に堪忍袋の緒が切れた!
おのおの方、覚悟はよろしいな
メイキングでインタビューに答える溝口琢也君
(笑顔になると本当に可愛い)





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