不灯港 (2009年)
少年映画評価 |
5点 |
作品総合評価 |
6点 |
少年の出番 |
30%(後半に出番増加) |
お薦めポイント |
中年独身男の奮闘ぶり |
映画情報など |
2009年公開/DVD発売中 |
2009年8月1日、シネ・リーブル梅田(大阪)にて鑑賞。広島で「妻の貌」を観た後、新幹線で大阪に戻り、梅田スカイビル3Fのシネ・リーブルへ。大阪では本日公開初日の「不灯港」を鑑賞。何回でも書きますが、この映画館はスクリーンの見にくい欠陥?シアターです。
グチはこれくらいにして、映画の内容ですが、本作品は第18回PFFスカラシップ作品。ぴあフィルムフェスティバルのコンペ部門の中で認められた若手監督に対し、長編映画の製作から上映までを支援する制度。過去には「バーバー吉野」(第13回)、「運命じゃない人」(第14回)などが、話題の映画となっています。
■ストーリー
万造(小手伸也さん)は、ある寂れた漁村の漁師だ。真面目に働いているが、38歳にもなって独身。村全体に嫁のきてが無いため、漁協では集団見合いなどを開催し、万造も毎回参加しているが、漁師以外になんの取り柄もないため、誰も相手にしてくれない。
そんな時、都会から女性が幼い息子まさお(広岡和樹君)を連れて逃げてきた。そして漁で留守の万造の家に忍び込んだ。帰ってきた万造に見つかるが、万造は女性に一目惚れ。まさおと3人に暮らし始める。しかしそれも長く続かず。女性はいなくなった。まさをを残して。万造とまさおは。
■素人映画なら高評価ですが
本作は決して嫌いな作品ではありません。嫁に来て貰えない40歳前の冴えない独身男のドタバタ風ストーリーも、いい点をついているとは思います。でも映画としての完成度が低いという印象を拭えません。先日みた東京藝大の終了製作、またPFFに応募された自主映画なら、これでもいいのですが、商業映画としては、もっと頑張って欲しい感じがします。
違和感の原因なのですが、主役の万造を演じた小手伸也さんをはじめ、舞台中心の俳優さんで固めている点です。セリフが不自然なんですね。(勿論それを敢えて狙ったのかもしれませんが。)舞台ではいいのかもしれませんが、スクリーンでは聞きようによって「大根役者」にしか見えない懸念があります。
先日みた「よるのくちぶえ」の学生監督もそうなんですが、監督の「独りよがり」による冗長部分が目立ちます。(無駄に長すぎるシーンや意味不明のセリフなど)ある程度なら若い感性として新鮮ですが、観客が退屈してしまっては、元も子もありません。
アングラ舞台監督を目指すならこれでもいいのですが、映画監督を目指すなら、もう少し観客の事も考えて欲しいものです。少し辛口になってしまいましたが、監督への期待が大きいだけに、敢えて注文させて頂きました。
さて話は変って、本作品は意外にも少年俳優(子役)が活躍します。万造の家に侵入した母子のうち、まさお役を演じた広岡和樹君です。押入れから顔を出す最初のシーンは、ホラー映画「呪怨」のとしお少年を彷彿させますが、なかなか健気な少年を好演。
病気で寝込む万造におかゆを作って食べさせてあげる少年、こんな健気な少年がどう成長するのか、ぜひ続編を見たい。そんな可能性を感じる監督です。とはいえ「バーバー吉野」なんかに比べると、まだまだ監督の力量は不足している感じですので、勉強して欲しいものです。