BALLAD 名もなき恋のうた (2009年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 5点
少年の出番 90%(一応主役なはずですが)
お薦めポイント 武井証君のシンちゃん?
映画情報など 2009年公開/DVD発売中


2009年9月5日、ワーナーマイカルシネマズ大日(大阪)にて鑑賞。この3週間連続して土曜日は同じパターンの生活です。平日の通勤より30分程ゆっくり家を出てワーナーマイカル系のシネコンへ。座席を指定した後はショッピングモール内の喫茶店で時間待ち休憩。

先週の「20世紀少年」は完売マークが出ていましたが、今回の「BALLAD」は2割も埋まっていない寂しさです。空いている方が快適なんですけど、もうちょっと入ってないと不安です。

■ストーリー

戦国時代、関東にある弱小の「春日の国」の井尻又兵衛(草なぎ剛さん)は武術に優れ、人望も厚い武士。密かに姫(新垣結衣さん)に恋心を抱いている。しかし隣の強国の大名が、姫を嫁がせよ、さもなければ春日の国を滅ぼすと 攻めてきた。

そんな時、21世紀の日本から少年、真一(武井証君)とその両親が車に乗ってタイムスリップしてきた。真一は又兵衛の信を得て、城内に入ることを許された。しかし隣国の大軍に囲まれてしまった。又兵衛が戦術に長けているとはいえ、多勢に無勢。さてどうなるでしょうか。


この二人が主役のはずなんですが
■「クレヨンしんちゃん」なのに、しんちゃんは空気

アニメ映画「クレヨンしんちゃん」の実写化という事で、アニメの方は見た事もありませんので、少し不安な感じでしたが、結果的にはそこそこな出来だったと思います。しかし山崎貴監督作品という事では、正直言って期待外れでした。

映画「ぼくとママの黄色い自転車」に続いて準主役を張った武井証君は立派でした。出番も多く達者な演技力は、文句のつけようもありませんが、どこか不満が残ります。それは証君の演じた真一のキャラクターが不安定なことが原因ではないでしょうか。

優しくて気弱な小学生なのか、オマセな小学生なのか、(アニメのような)おふざけキャラなのか、一本筋が通っていないんです。そのためシリアスな時代劇シーンの中で、唐突な行動やセリフが浮いてしまい、真一の存在が邪魔とさえ思う人が多かったのではないでしょうか。証君のファンでもある私としては、これは非常に残念でなりません。

証君を使うなら優しくて気弱な小学生のキャラを貫いて欲しかった。言いたい事を、相手が大人でもポンポンと平気で口に出すようなキャラでなく「どうしよう、どうしよう」と迷いながらも勇気を出して意思を伝えていく。こんな少年の成長を描いてくれたら方が少年映画ファンとしては嬉しいところです。

可能なら全編に渡って武井証のナレーションを使うのも手だったかな。冒頭「去年、僕達家族はある体験をしたんだ。でも、きっとみんなは信じてくれない」なんて、TVドラマ「北の国から」の純、こと吉岡秀隆君のような感じで。

一方、その逆に出番は少ないながらもピカイチ!だったのは、吉武怜朗君でした。本当は、優しく気の弱い少年なのに、家族や姫を守らなければとの使命感に悩む若侍を見事に演じました。

これは役柄のキャラに一本筋が通っていて非常に判りやすかった事が良かったのでしょう。吉武君が最後の合戦で死ぬんじゃないかとハラハラしましたけど。

主役の草なぎ剛さん(漢字が出ず申し訳ありません)は、色々ありましたけど、安定した演技で適役だったと思います。山崎貴監督は子役を軽んじることなくしっかり指導する監督さんだと思いますが、今回は大人にしか手が回らなかった感じがします。もしかすると子役の証君があまりにも能力があるので、つい彼に任せてしまったのかもしれません。

映画の内容からすると、主役は草なぎさんと証君が同列くらいなんですが、武井証君のクレジットは下の方にあります。パンフレットにも大人の事しか書いてありません。まあ今の邦画メジャー作品はこんなものですかね。





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