いけちゃんとぼく (2009年)

少年映画評価 8点
作品総合評価 5点
少年の出番 100%(主役)
お薦めポイント 深澤嵐君の演技力
映画情報など 2009年公開/DVD発売中(写真は主役の深澤嵐君)


2009年6月20日、テアトル梅田(大阪)にて鑑賞。

本当に久し振りの少年主役の映画でした。この日を楽しみにして前売券を購入し、全国公開初日の朝一番!と気合いを入れて大阪は茶屋町のLoft地下のテアトル梅田へ向かいました。上映1時間前に到着、最前列の真ん中の席を指定し、ほっと一息。時間があるので阪急のカッパ横丁(大阪の人しか判らないか)まで戻り、ドトールでコーヒーを飲んで時間待ち。

さて、いよいよ上映開始。席はざっと8割は埋まっていました。男性1人で来ている人も意外に多く、子供向け映画なので「浮くかな」なんて心配は全く不要ですよ。大人1人でも、どんどん観に行って下さいね。

■ストーリー

9歳の少年ヨシオ(深澤嵐君)には、ものごごろがついた頃から「いけちゃん」というお化け(みたいな存在)がいつも側にいて、なにかと手を貸してくれた。もちろんヨシオにしか見えない。

学校では、体の大きなイジメっ子グループから暴力をふるわれたり、逆にヨシオを慕う貧乏な「うどん屋」な子供に酷い仕打ちをしたりと、子供ながらの大変な生活をしながら成長していく。そして18歳。大学生になったヨシオ(池松壮亮さん)には、もはや「いけちゃん」は見えなくなった。果たして「いけちゃん」とは何者だったか。

■深澤嵐くんが素晴らしいの一言

子役というより、その辺の若手芸能人なんかのレベルを超えた「俳優」だと思います。これまで彼の出演作品をそんなに真剣に観たことはなかったのですが、主役クラスに抜擢されるのは、やっぱり理由があったんだ、と納得させられました。

意外だったのは「いけちゃん」。超人気女優の蒼井優さんが声優を務める事ばかり話題になっていましたので、声が鼻につく(蒼井さんファンの皆様、すみません)のではと心配していましたが、「いけちゃん」が思ったよりもあっさりとしている、というか存在感が薄かった事です。

深澤嵐君の濃い演技に完全に喰われている感じでした。原作ファンには大不満かもしれませんが、おかげで少年俳優 深澤嵐君が一層引き立つ感じで良かったのでは、と思っています。

もう一つ「いけちゃん」ですが、CGの出来云々ではなく、このサングラスをかけたオバケのQ太郎みたいなキャラクターがなぜ女性なの。この事にどうしても違和感を払拭できませんでした。女の子キャラなら、もう少し可愛くして欲しいものです。これも原作なら仕方ありませんけど。

今日もイジメっ子にやれるヨシオ
そして今日もいけちゃんに助けられ

■暴力シーンにはフォローが必要です

さて深澤嵐君はびっくりする程の熱演でしたが、ストーリーには納得できない点も多々あります。まず暴力シーンの多さがダメです。この映画をみると、小中学生の生活というのは「仁義なき戦い」にあけくれる極道の世界、どこへ行っても戦わないと生きていけないんですか?

強い者が弱い者を喰う連鎖の世界なんですか?これではまるで仏教でいう修羅道に落ちた亡者みたいです。これは脚本を書かれた監督の世界観なのかもしれません。最後に少し救いを見せますけれど。

特に気になったのは、ヨシオを慕う貧乏少年に、友達になりたかったらこれを食べろと、虫除けのナフタリンを食べさせる場面。そして本当に食べてしまっても、ヨシオに反省するような描写が一つもないこと。倫理上も問題ですが、少年映画としては超NGだと思うのですが。(ヨシオが心底反省して少年に謝るなどの、フォローがあればなあ。)

最後にパンフレット700円は大不満。本作品はクレジットも、実際の内容も主役は深澤嵐君です。しかしパンフレットにはインタビューもなく、原作者の西原理恵子さんと、声優の蒼井優さんの記事ばかりで、ちょっと拍子抜けでした。まあ後世に残るのは映画本編ですから、パンフレットなんてどうでもいいんですが。いろいろ書きましたけど、この映画を作って下さった方々には本当に感謝したいと心から思います。





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