誘拐ラプソディ (2010年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 5点
少年の出番 90%(準主役)
お薦めポイント 全く物怖じしない林遼威君の演技
映画情報など 2010年公開/DVD発売中(写真は林遼威君)


2010年4月3日、梅田ブルク7(大阪)にて鑑賞。出演者の1人が逮捕され、監督自らが代役となって撮り直すなど、ドタバタがありましたが、無事に公開となりました。でも、その影響なのか公開される映画館は非常に少なくなっています。(大阪府で4館程度)

ちょっと米映画「パーフェクトワールド」風です。(そんな映画知らないって?)
■ストーリー

借金にまみれ、人生に行き詰った中年男(高橋克典さん)が、やけになって身代金目的誘拐を試みるが、誘拐したのが、なんと暴力団組長の息子(林遼威君)だった。暴力団、警察から追われ、子供を連れて逃げ回るうちに、子供と中年男の間に妙な親近感が生まれてしまう。

■よくある誘拐モノのドタバタ人情劇

原作は未読ながらも期待していました。でも、公開前のプロモーションでは、強面の3人の男(高橋克典さん、哀川翔さん、船越英一朗さん)が前面に出て、まるでヤクザ抗争映画みたいな感じになっており、ちょっと違う映画かな、とトーンダウンし、あまり期待していませんでした。

そういう事もあり、気乗りしないまま梅田のシネコンへ。結果的に言えば、誘拐される幼い少年を演じた林遼威君の堂々の演技にびっくりしました。主役の高橋克典さんを喰うほどの存在感には、恐れ入りました。

ロードムービーに仕上がっていますが、先日見た韓国映画「空を歩く少年」のようなドーンと重い映画ではなく、ちょっとお笑いもある、軽い娯楽作品ですが、これはこれでよいのではと思います。

さて、林遼威くんですが、セリフは自然そのもの。これは演技なのか天然なのか判りませんが、大人に物怖じしない大物の雰囲気があります。この脚本では子役がキーだけに、セリフ棒読みの子役では厳しいものがあります。その点、監督は林君という適役に出会ったことが、ラッキーなんだと思います。

アメリカ映画「パーフェクトワールド」や黒澤明監督の「天国と地獄」のパロディみたいなシーンもありましたが、別に目くじらを立てる事もなく、判る人はクスっと笑えばいいでしょう。


榊英雄監督の前作「ぼくのおばあちゃん」もなかなか秀逸な少年映画でした。やはり映画のプロモーションでは子役の影は薄かったのに、本編では少年俳優の独壇場でした。(榊監督は子役映画が好きなのに、それを前に出すのが恥ずかしいのかもしれません)

ちょっと笑えて、ちょっぴり、しんみり。まあ良質の娯楽作品ですので、皆さんもご覧下さい。





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