ラビット・ホラー3D (2011年)
少年映画評価 |
7点 |
作品総合評価 |
5点 |
少年の出番 |
70%(ほぼ準主役) |
お薦めポイント |
澁谷武尊君の子役最後の演技 |
映画情報など |
2011年公開/DVD発売済 |
2011年9月23日、ワーナー・マイカル・シネマズ茨木(大阪)にて鑑賞。
映画館で何回か予告編を見ておりましたが、ウサギ(着ぐるみかCG)と満島ひかりさんしか登場しない「不思議の国のアリス」系のホラーだと思っておりました。少年俳優も出演していると知ったのは、公開初日の舞台挨拶記事をネットで読んだ時。
3連休の初日。本当に爽やかな秋晴れの行楽日和。こんな日に暗い映画館へ行くのは勿体無い。そう思う人が多かったのでしょうか、大阪郊外の茨木市にあるシネコンは空いておりました。3D映画なので料金が高いのが難点ですが、眼鏡にクリップできるタイプの3D眼鏡を購入。(ワーナー系の3Dでは今後も使えるのですが、他の配給系3Dは非対応。何とか統一して欲しいもの)
うさぎのぬいぐるみに追いかけられる
■ストーリー
映画は、大悟(澁谷武尊君)によるウサギの惨殺シーンから始まります。これはウサギの出産を瀕死状態だと勘違いした大悟が安楽死させようと善意で行ったようですが、これをきっかけにウサギの復讐が始まります。実はこれは見せかけの伏線で、映画は複雑。
大悟は、姉のキリコと3D映画を鑑賞中に、画面から飛び出てきたウサギのぬいぐるみを拾った。それをこっそりカバンに入れて持ち帰った。そしてその夜から、ウサギに誘われて、悪夢の世界に迷い込むことになる。弟の不審な行動に気づいたキリコが、こっそり後をつけていく。
映画は後半になって異なる展開へ。全ては大人になった主人公キリコ(満島ひかりさん)の心の中の世界。しかし本来はキリコの想像物だったはずの存在が、やがて実在の存在へと生まれ変わる。
■不思議の国をさまようのは少年
前半の主役は完全に澁谷武尊君。すなわち不思議の国をさまようのは少女でなく少年です。ただ、不思議の国といっても実在の遊園地。2009年の映画「戦慄迷宮3D」と同じ。あまり怖くはありません。強いて言うなら1番怖かったのは少女時代のキリコのセリフ「アタシが一人我慢したらいいんでよね」。
新しい母を迎えた父に投げた言葉。リアルすぎて怖い。子役さんは超美少女でしたけれど、女の子ってこういう感覚なんだと思うと、何かやり切れない怖さを感じました。
■澁谷武尊君
さて澁谷武尊君、実年齢よりも随分幼く見えますが、いつも一本筋の通った演技で安心して見れます。可愛いのですが、顔の輪郭が昭和の少年という感じで和服や浴衣の方が似合いそうです。(NHKの文豪怪談シリーズ「後の日」の童子を演じた澁谷君は素晴らしかった)
でも上の写真の横顔。このカットは非常にうまく撮れていてます。思春期を前に憂いを帯びた少年という感じで、やはり成長しているんだなあと認識させられます。
これは私の勝手な邪推です。日本での興業を考えればキャストは少女だけの方が成功したと思いますが、欧米への売込を視野に入れれば少年俳優が必須だったのかなとも考えています。その意味で東洋的な眼をした澁谷君はいいキャスティングだったかもしれません。
最後に3Dについて。字幕やウサギが飛び出してくるのは新鮮ですが、それ以外にはメリットを感じません。いや3Dのために輪郭や細部がボケているようにさえ思いました。これなら高精細の2Dの方がずっと良いと思うですが。時代の流れは3Dですが、カメラやスクリーンの進歩がもっと必要だと思います。
(小学生の時に見た、赤と青のセロファンをはった眼鏡で見た立体映画からそんなに進歩は感じないなあ)