Good Luck 恋結びの里 (2012年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 5点
少年の出番 100%(主役です)
お薦めポイント 素朴な少年の素朴な演技。
映画情報など 2012年公開/DVD発売中
(写真は主役の山本正成君)


2012年10月13日、シネマ尾道(広島)にて鑑賞。

昨年の第1回に引き続き、第2回お蔵出し映画祭が広島県の尾道市他で開催されました。昨年は本郷奏多さんの幻の映画「ふるり」をどうしても見たくて、絶対行くんだ!との意気込みでしたが、今年はそこまでのモチベーションがありませんでした。

そのため直前まで行く決心がつきませんでしたが、昨年初めて訪れた尾道の町をもう一度歩いてみたい気分もあり、土壇場で行く事にしました。今年のお蔵出し映画祭でコンペティションに出品された6本のうち、最も期待していたのが、少年俳優が主役である本作品でした。

■ストーリー

まだ豊かな自然が残る三重県の菰野町。小学生の修(山本正成君)はクラスに好きな少女がいるが、とても告白なんかできない気弱な少年だ。そんな時、数年前に家を飛び出して行った姉の有美が突然に家に戻ってきた。婚約者の男性を連れて。

しかしその婚約者が問題だ。有美はまだ21歳。相手の山岡は45歳の大学准教授、父と同い年だった。父が許す訳はない、当然のように父娘のバトルが始まった。有美は山岡に故郷の山や神社を紹介する。そこに弟の修も無理やり連れて行かれてしまった。修は山岡を警戒していたが、山岡の穏やかで知的な人柄に次第にひかれていく。

やがて町のハイライト「僧兵まつり」の日がやってきた。祭りの最後に山岡は、また父に頭を下げる。父が拒否しても頭を下げる。やがて父は根負けして結婚を許したのだ。それを見ていた修も喜んだ。山岡は修にささやいた「次は君の番だよ」よし、修もクラスの美少女にアタックだ。

■なぜ、お蔵出し映画なのか?

この映画は2012年製作。今年の作品です。まだお蔵入りもしていないのに、なんで「お蔵出し」なんですか。そんな疑問へのヒントが、上映後の瀬木直貴監督の話で明らかになりました。本作品は三重県の菰野町、四日市市を中心とする地方振興映画(いわゆるジモティー映画)です。

今の日本では、以下の公式が成立するそうです。
(地方映画) = (全国公開の可能性99%なし) = (作った時点でお蔵入り決定)

これは、映画館がほぼシネコンしか無くなってしまった現在、映画配給は大手しかありえないせいでしょう。残念ですが、日本の文化は衰退していくしかないのでしょうか(ちょっと大げさかな)

しかしそこに現れたのが正義の味方!お蔵出し映画祭。こんな今年製作の映画なのに、地方映画をお蔵出し作品として認可してくれたのでしょう。後で紹介する「ふるさとがえり」も同じ趣旨の作品でした。それなのに、今年も観客は涙が出るほど少ない。ガラガラでした。

娘のことで悩む父。息子としても心配
温泉は見ているだけでも和みます

■映画としてはもう一ひねり欲しかった。

さて映画ですが、どうしても地元紹介が目立ちます。三重県の森、御在所岳の神聖な雰囲気、僧兵まつりの様子は興味深く見れました。でも57分という中篇ですので、ドラマの部分がややありきたり。単に男が女に求愛する、少年が少女に求愛する、恋結びの里って、そんなものなんでしょうか。

瀬木監督は表層のドラマの他に、深層ドラマとして被差別の民の象徴として「狐の嫁入り」の映像を入れたとコメントされていました。その部分はよく判りませんでしたので、できればもう一度見たい気がします。

主役を演じた山本正成君。よく頑張っていましたが、監督のコメントは非常に厳しいものがありました。「芦田愛菜のような天才を除けば、子役の演技は期待できない。なので子役選出の基準は、顔や表情、特に目の大きさで決めた」(セリフや演技しなくても、目が大きいと語りかけるものがある)

この作品の山本正成君の演技も「自分は監督として全く満足していない」とまで言われていました。それでも、結果的に彼を選んで良かったというようなニュアンスはあったのが救いですけれど。

山本正成君は美少年というには、若干あか抜けていない部分がありますが、いい表情を見せてくれました。(名古屋圏の方には失礼ですが、中学生日記に出ているような、どこか田舎っぽい感じが何ともいえません)

後日、DVDが発売されましたが、全国の店頭に並ぶこともなく、Amazonなどのサイトで販売されることもなく、なんと三重県菰野町の事務所まで申込むしかありません。私は迷うことなく申し込んで入手しました。既に販売終了との事で、まだ見ておられない方には残念な事です。
(追記)DVDの販売は再開されたようです。





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