最寄りの怪談 (2013年)

少年映画評価 5点
作品総合評価 4点
少年の出番 60%(3話のうち2話は少年が主人公)
寸評 全く怖くないが、少年俳優が活躍
映画情報など 2013年製作。DVD発売。
(写真は、第2話主演の東良啓寿君)


カルト作品や国内未公開作品を専門にしてDVDを発売してくれるWHDジャパンという会社があります。少し前に紹介したDVD「夢の小学惑星」の発売元と同じです。

その会社から出ている本作「最寄りの怪談」には少年俳優が出演している事を知り、また中古DVDショップで探したのですが、まだ流れておらず、しぶしぶAmazonで新品を購入しました。中古ショップで200円くらいで入手できたら大満足ですが、その10数倍も出す価値はあったかどうか。

本作品は、20分程度の短編本作品は3話のオムニバス形式になっており、主人公はそれぞれ違うのですが、みぶ真也さんという役者さんが演じる、死神のようなオジさん(オジさんというより、やはり大阪のオッさんという方が似合いますが)が出てきます。藤子不二雄氏の漫画「笑ゥせぇるすまん」みたいな感じですが、全体的には出来が今ひとつ。

第一夜「死神おじさん」、第二夜「蠅女」、第三夜「夏の桜」と、こちらは文豪、夏目漱石の「夢十夜」みたいな感じですが、少年俳優が主役の一夜、二夜を合せて簡単にレビューします。

第二夜「蠅女」より
■ストーリー

■第一夜「死神おじさん」
小学生の翔太郎(坂本大星君)は、同級生の亀田君が苛められているのを、助けて二人で逃げる。なんとか逃げ切ったところで、苛められた理由を聞くと、亀田君は死神が見えるそうだ。「ふ〜ん」と半信半疑の翔太郎。

その時、二人の前に不気味な初老男が出現。「死神だ」と息をのむ二人。亀田君は別れ際に御守りをくれた。「これがあれば大丈夫」家に帰った翔太郎。その夜、父が九州の伯父さんを連れて帰宅した。伯父さんはずっと前に死んだはずなのに。よく見ると、伯父さんは昼間に会った死神だった。さあ翔太郎の運命やいかに!

■第二夜「蠅女」
小学生の祐介(東良啓寿君)が、離れて暮す兄のもとにやって来た。半泣きになりながら「母さんが」と兄に助けを求めた。兄が事情を聞いてみると。サッカー選手になるのが夢の祐介。しかし母は「勉強して死んだ父のような先生になれ」と口うるさい。

嫌になって家を出て河原で寝転んでいると、不気味な初老の男が現れた。男は祐介に二つの薬をくれた。一つを母に飲ませれば、母は祐介の思うような人間に変わると言う。但し量を間違えてはいけない。きっちり1包を飲ませること。でも万一失敗したり、元に戻って欲しい時はもう一つの薬を飲ませればいい。解毒剤だと。

その夜、祐介は母の茶碗に薬をまぜた。何も知らず、ご飯を食べる母。だが半分食べたところで「お腹一杯。もう食べれない」と言い出す。全部食べてくれ〜!突然、母が倒れて苦しみ始めた。驚いた祐介は解毒剤を飲ませる。母は元に戻った。やれやれ。ところがである。実は母が半分残したご飯を、一緒にいた姉が食べていたのである。姉には解毒剤はない。ねえちゃんは。

■大阪の下町を舞台にした怪談のはずですが

全体的にチープな出来なのは仕方ありません。予算もないのでしょうから。ただ大阪の下町が舞台とあるのですが、大阪の有名な場所は全く出てきません。中流とも言えない、所得下層レベルに近いような住宅街。東京でも、名古屋でもどこにでもありそうな町。

役者さんの関西弁も、一部の方を除いて、どこか板に付いていないのです。特に子役さんの言葉が関西弁のネイティブスピーカーには思えず、どこか別の場所の劇団の子かもしれません。

大阪っぽさは無くてもいいのですが、あまりにもセリフ棒読みなのが、いただけません。このあたり、劇団や子役事務所の熾烈な競争のある首都圏なら、誰を使っても、もっとレベルの高い演技ができるように思います。やはり、大阪も含め、地方では俳優さんの需要そのものが少ないのかもしれません。

(第一夜)亀田君と翔太郎
(第一夜)亀田君から貰った御守り

■今時めずらしいホラー作品

「めずらしいホラー」と書きましたが、何が珍しいかと言いますと、本サイトをいつもご覧になっておられる方ならすぐ判ると思います。セーラー服や制服の女子中高生が一切出て来ないのです。

日本のチープホラー作品に欠かせない女の子たち。○○○48とか全国で女子アイドル集団がいますが、彼女らの出演料も高くなってしまったのでしょうね。その分、本作品では子役、それも少年俳優さんを使ってくれているのは有り難いところです。もう少しセリフが達者なら、もっと良かったのですが。

しかしながら本作品に出演された子役さんの名前もよく判りません。第一夜で主演の坂本大星君。決して美形ではないのですが、最初に登場した時は女の子に見えました。話す言葉も女の子っぽいのです。(ちょっとオカマチック)でもよく頑張りました。

第二夜に主演の東良啓寿君。彼は、ちょっと東南アジアっぽいエキゾチックさのある、なかなかのイケメンです。監督さんやカメラマンも意識しているのでしょうか、彼の顔のアップ場面が多いのです。

(第二夜)川原で死神おじさんと会った
(第二夜)死神から貰った薬をどうしようか





▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼少年映画第3部へ戻る