少年映画評価 |
6点 |
作品総合評価 |
6点 |
少年の出番 |
100%(少年と少女が主役です。) |
お薦めポイント |
突然、姉弟になった少年少女のぎこちなさ |
映画情報など |
2015年製作/DVD等未発売(写真は佐藤大志君) |
2016年、初の少年映画ですが、東京と名古屋でしか上映予定がありません。そのうち大阪にも来るだろうとも思ったのですが、名古屋まで遠征する事にしました。今や新幹線で50分もかかりませんが、経費節約のため、片道は近鉄特急を使用。それでも往復で1万円近く。名古屋のプチ観光(あいにくの雨でしたが)を加味すれば、十分のその価値はあったと思います。
主役を演じた佐藤大志君。(パンフレットから)
■ストーリー
小学生の陸太郎(佐藤大志君)の母が再婚し、新しい父が、陸太郎と同い年の真理子(舞優さん)を連れてやってきた。同い年とはいえ真理子の方が背も高く、おまけに気も強い。二人が仲良くなるなんて無理だった。
真理子は、父と母が別れるように「離婚同盟」を作ろうと提案、陸太郎も同意し、二人は活動に入った。母の作る料理に大量の塩を入れたり、幽霊に化けたり。でも二人はアツアツで離婚なんかしそうもない。陸太郎は亡くなった父の働いていた鉄工所へ時々行く。父を思い出すために。
やがて新しい父は、だんだんと本性を現してきた。不動産屋で働き出したのはいいが、職場の若い女の子と飲みに行くようになった。母は昔から水商売で、夜は陸太郎と真理子の二人だけ。ある晩、真理子は熱を出した。父はどこにいったか不明。この事件以降、父と母に亀裂が生じた。
亀裂は、あっという間に広がり、父と母は破局に向かう。二人の作戦は成功しそうだが、真理子の心は晴れない。ある日、急に家出すると言い出す。なんと陸太郎もついていくと。
美少年だが、常に表情が硬い
■どこかで見たようなストーリーでしたが
再婚した両親の連れ子どうしの話。よくあるTVのホームドラマのように、だいたい、すったもんだの末、最後は両親の愛は深まり、連れ子どうしも仲良くなるというハッピーエンドだろうと思っていました。
以前にレビューで取り上げた、1991年のフランス映画「わんぱく離婚同盟」も、ほぼ同じようなテーマです。離婚同盟なんて言葉は、この映画から引っ張ってきたのかもしれません。でもあっちは、おフランス映画。明るくおしゃれで、最後はハッピーエンド。
ここではネタバレはしませんが、本作品は少しだけ、ひねってあります。新しい父親が、今の言葉でいえばDVオヤジになるのですが、本質的に悪い人間ではありません。弱い人間ではありますけれど。家族というのは難しいものです。win-winの関係なんてありえない。誰かが「無償の愛」を持たないと。そんな気がします。
■スターダスト・プロモーションの子は演技向きではない?
真理子役を演じた舞優さん。超美少女です。もう芸名を持っているように、売れっ子なんだろうと思います。セリフは、ややたどたどしい感じもしますが、堂々とした演技です。本来なら彼女を軸にストーリーを書く方が良かったと思います。
スギちゃんの真似
(ここは緊張とけて可愛い)
でも、本作品の監督さんは、少年役である陸太郎を軸に据えています(役柄は、二人は同じくらいですが、少年役の方に重点を置いているように思えます)。さて、演じた佐藤大志君、この監督の期待に応えられたでしょうか。あくまで私感ですが、もう少し頑張る必要があるように思います。
まず長いセリフが全然しゃべれない。ボソボソっと小さな声で短いセリフを呟くだけ。もちろん監督さんの演出だろうと思います。ただ可愛かったり、凛々しかったりする表情の変化をカメラで撮ってくれますので、雰囲気はいいかもしれません。
でも、これが通用するのは初出演の時だけ。このままでは、次からは誰も呼んでくれないのでは。監督さんのプロダクションノートを読むと、佐藤大志君には、かなり手こずらされたと、しっかり書いてあります。俳優を目指すなら、セリフや演技の勉強が必要です。
ここで思い出したのが、彼もスターダスト・プロモーション所属の子役さんだったこと。同事務所はEBiDANなど、少年タレント養成に力を入れており、ルックスのいい子役さんが大勢いますので、映画に呼ばれる事も多くなっていますが、演技力には?がつきます。
美少年だった北村匠海君、結局主役作品は無かった。「あかぼし」亜蓮君、「ショートホープ」竜跳君は1作で主役を貰いましたが、セリフが上手いとは言えず(亜蓮君は天然なのでマシかも)、昨年の「ソロモンの偽証」板垣瑞生君、今TVドラマに出ている高田彪我君も、セリフが上手いとはお世辞にも言えません。
これだけ映画やドラマに呼ばれている訳ですから、歌やダンスだけでなく、セリフの訓練もしっかりやればいいのにと、残念に思います。スターダストは児童劇団とは違うのかもしれませんが。
話が逸れました。映画は74分とやや短めですが、なかなか面白かったので、是非とも全国で上映して欲しいものです。