天秤をゆらす。 (2016年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 3点
少年の出番 50%(2人の少年が半分主役)
お薦めポイント 映画というよりコント。でも最後は少しいいかも。
映画情報など 2016年公開。DVD発売済
(写真は石野湘太君と三谷麟太郎君)


レンタルのツタヤの新作コーナーでたまたま見つけたDVD。パッケージに「シリーズ第3弾、またあのダメ男3人が帰ってきた」とあるのですが、シリーズって?全く知りません。ただ少年俳優が2人が載っていたのでパッケージを手に取り、そのままセルフレジへ。(新作なので高かった..)

シリーズとは、アラサーのダメ男2人が自堕落な生活をするコメディで、そこへもう一人のアラサー男(廣瀬智紀さん)が絡んでくるものらしいのです。本作はそのもう一人の男が主人公になり、ダメ男2人と少年2人との不思議な関係を描いているのですが...

映画というにはオコガマシイ気がしないでもないですが、予算も少ないインディーズ系の作品ですから仕方ありません。レンタル屋もたまには覗いてみるものです。(以前は日本橋の中古DVDショップで格安の掘出し物を漁っていたのですが、ショップが潰れました)

男と少年二人は森の中で一夜を過ごすことになった
■ストーリー

もう30前なのにフリーターの田宮(染谷俊之)と青島(赤澤燈)の2人は、同じフリーターの丸山(廣瀬智紀)に誘われて山奥の秘湯へやってきたが、森の中で道に迷ってしまった。3人は拳銃を拾い面白半分に撃つと、見知らぬ男に命中、更に丸山のリュックにはなぜか札束が。

一方、ハナギュウ(三谷麟太郎)とブラウン(石野湘太)というあだ名の二人の小学生が森へやってきた。二人が慕う京子先生が重病に罹り「ガイコツの滝のほとりにある鹿の骨を飲めば治る」との話を信じて。

丸山は二人の男とはぐれ、ハナギュウとブラウンの少年2人と行動を共にする。しかし札束の持ち主であるギャング、野生の熊、果ては拳銃で撃たれた男がゾンビとなって襲ってくる。ナンセンスなドタバタの連続の末、二人の男と二人の少年には深いつながりのある事が判ってきた...

■私は未来から来たタイムパトロール

最初は丸山と2人の男だけ。この2人は幼馴染なのに喧嘩ばかり。これがいい加減にしてくれよと不快で何回か早送りボタンに手がかかりましたが我慢。しかし2人の男が消え、2人の少年との話になってほっとひと安心。ところがこの少年2人も喧嘩ばかり。業を煮やした丸山が放った言葉がタイムパトロール。

少年たちは無視していましたが、だんだんと丸山の言葉を信じて慕うようになっていきます。まあ全体的に都合のいい脚本ですが、それに腹を立ててはいけません。本作品は制作費も少ない中でギャグとコントと割り切り、それならそれで楽しんだ方が勝ちです。

二人の少年と二人の男はどうも相似性があります。お互いの喧嘩や罵り内容など。これが結構不快で、結局少年にも感情移入できず丸山の視点になって映画を見ざるを得ません。それが最後ネタばれですが、二人の少年は二人の男の過去の自分だった訳です。二人の男は昔埋めたタイムカプセルを掘り出すシーンまで。(「だるまさんがころんだ」を思い出したりして)

二人の少年は「ガイコツの滝」を目指して出発
森の中で丸山に出会い、3人で行動することに
(ここまでかなり紆余曲折ありましたが)

ブラウン役の石野湘太君
(なぜブラウンと呼ばれているかは不明)
ハナギュウ役の三谷麟太郎君
(あだ名の由来は不明。笛はもっと練習しましょう。)

■情けない黒執事

本作品で一番いい味を出していたのが丸山役の廣瀬智紀さん。軟弱でダメ男っぽいのですが、誰に対しても誠実で真面目なのがいいのです。正直言って小学生にすらヘコヘコしているのは情けないのですが、それが嫌味でないのが演技力でしょうか。

廣瀬さん(二人の男役の染谷さん、赤澤さんも含め)はテニプリ、弱虫ペダルなど、舞台ミュージカルで活躍中の若手イケメン俳優との事。ミュージカルといえば、黒執事のセバスチャンはカッコいいのですが、本作品は執事役を思いっきり情けなくしたキャラ。これはこれで続きがあってもいいように思います。できればシエルのような少年役も絡んで。

まあ全体的にB級にも及ばないC級作品かもしれませんし、最近では珍しい女性出演者ゼロの作品ですが、もしレンタル店で見かけましたら一度ご覧になって下さい。旧作になって108円に値下げしてからの方がいいかもしれませんが。

未来の自分に背負われるブラウン
(夢は野球選手になってヤクルト入団のはずだったが)
未来の自分に背負われるハナギュウ
(こんなフリーター男になるとは思ってない)

トンネルの前でお別れ。過去と現在の境目か
おまけ。少年の冒険に欠かせないもの
(タバコの代わりにふかしていました)






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