アフリカの鳥 (1975年)
少年映画評価 |
7点 |
作品総合評価 |
6点 |
少年の出番 |
100%(これぞ日活児童映画、少年映画) |
お薦めポイント |
元気な少年はパワーをくれます。 |
映画情報など |
1975年公開。DVD等発売なし (写真は主役の神谷政浩君) |
初期の日活児童映画の代表的作品(私が勝手に代表的と思ってるだけですが)。DVDはおろかビデオも発売されず、メディア化には遠い作品です。でもテレビで何度も放送されましたので録画された方も多いのではと思います。とっくにレビューを書いているつもりでしたが...
主役は神谷政浩君。1977年のTV特撮番組「大鉄人17」主人公の南三郎少年を演じて有名になりましたが、その数年前の作品。キャラ的には「あばれはっちゃく」っぽい元気少年ですが、もう少し繊細なところもあり、なかなかいい役です。
なお本作品もノースエンド先生から録画を借りましたが、もともとが16mmフィルム作品で画質は今一つ。アスペクト比も4:3ですので、今回のレビュー掲載の写真は小さめになっています。
(神谷政浩さんですが現在、yahoo!映画、映画.com、日活サイトでも、神谷政治と表記されています。でも映画の字幕は「政浩」ですのでwebは誤植ではと思いますよ。政治の話は嫌ですねえ..)
いつもの5人組 少年らしく溌剌としたツヨシ
(映画のオープニング・シーンから)
■ストーリー
小5のツヨシ(神谷政浩)は母と妹の3人暮らし。勉強は得意ではないが小学校では活発な少年。同じ班の5人で野原をかけまわっている。うさぎや動物の飼育も大好きだった。しかし仲間のトオル(染谷利貴)の様子が変だ。小5になってトオルは塾で受験勉強をさせられ遊べる時間がないようだった。
ツヨシは川原でバードウォッチングをする青年に会い、アフリカの鳥が日本にもいる事を知る。すっかり鳥に夢中になったツヨシは「鳥通信」という日記を書いて勉強で遊べないトオルに読ませてあげた。しかしトオルの母に見つかり拒否された。あんな(大学へ行かない)子と遊んではいけません。
そして些細な事でツヨシとトオルが喧嘩をした次の日、トオルは家出をした。みんなが探し回るなかツヨシはトオルの居場所を見つけ出して仲直り。トオルの母親もツヨシに感謝。
バードウォッチングの青年に鳥を見せて貰った
トオルのおじいさんとツヨシ。
(足の悪い老人を気遣うツヨシ。孫のトオルよりも...)
■1970年代の価値観..
価値観なんて大げさですが、当時の世相が垣間見れます。一流の大学、一流の企業へ行くためには苛烈な受験戦争。進学しない子供はその時点で負け組。トオルの家は団地ですが都会生活の象徴のように思われていた時代。両親の他に祖父も同居しています。
上記のストーリーでは省略しましたが、このトオルの祖父が重要な役を果たしています。自分の孫のトオルよりもツヨシと仲がいいのです。祖父はどんな人生を歩んできたのか判りませんが、人生の終末期を狭い団地で息子夫婦や孫に気を使いながら暮すのはある意味哀れに見えます。
一方、主人公のツヨシは母子家庭。家計は楽ではなく母は内職。子供たちも進学なんて考えていません。でも母は放任ではなく自分で考える事を教えます。立派なお母さん。演じた八千草薫さんが素晴らしい。(でもツヨシの家は庭もある持ち家。団地よりもこっちの方がいいと思うのに)
鳥の事を教えてくれた青年は旋盤工。高校を出て東京へ出てきたのでしょう。でも鳥の勉強をするために英語を独学で学ぶなど向上心は豊か。みんな上を向いて歩いていた時代でしょうか。(でもタバコは子供の前だろうと吸い放題、ゴミはゴミ箱に捨てるという習慣がなく、そのままどこでも捨てる、そんな時代でした。)
日活児童映画のようなシリーズこそ、現代の日本に必要な映画だと思うのですが。20を過ぎたお兄さん、お姉さんが学生服やセーラー服を着た青春恋愛モノ(少女マンガが原作)もいいのですが、子ども達が主役の映画が、この閉塞感を打破してくれると確信しています。
ささいな事が原因でツヨシとトオルは喧嘩
受験勉強のストレスもあり投げやりになったトオル
トオルが家出。いつもの5人組も探し回る..
(横縞シャツと縦縞半ズボン。この時代特有ファッション)
(この少年の出番がもう少し欲しかったかな)
最後は祖父のためにみんなで手打ちうどん
(東京でも手打ちうどんなのか...)