ともだち (1974年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 6点(典型的な児童映画)
少年の出番 100%(少女とW主役)
お薦めポイント 児童映画と「太陽にほえろ」の刑事たち
映画情報など 1974年製作。日活児童映画。DVDあり
(写真は主役の阿部仁志君)


日活児童映画の第2段。かつての小学生がお世話になった道徳教育的映画ですが、殆どDVD化されていないのが残念なところ。本作は幸運にもDVD化されているのですが、ちょっと別事情。

故・松田優作さんが出演した作品のDVD付マガジンの1冊として発売されたものです。とはいえ本作が松田優作さん主演かというと全くのチョイ役。まあ若くてカッコいいのですれけれど。

私は今年2019年にCSのチャンネルNECOで視聴。NECOは日活系の放送局。初期は日活児童映画も放送していたようですが、その頃は加入しておらず。最近は全く児童映画の放送が無かっただけに、今後は全作品を放送してくれたら狂喜するんですけれど..

新太(中央)は良子(右端)を秘密基地に連れてきた。
友人2人は「なんであんなヤツ連れて来るんだよ〜」
■ストーリー

新太(阿部仁志)は川崎市の小学6年生。悪ガキだが将来の夢はサッカー選手。両親は仕出し弁当家を営んでいる。もう1人の主役は同級生の良子(鈴木典子)。2年前に岩手県から川崎へ引っ越してきた。川崎の汚染された空気のせいで喘息になり、クラスから除け者にされている陰気な少女。

席替えで新太は良子の隣になった。嫌がる新太。先生(地井武男)は言った。お前を男と見込んで隣にしたんだ。良子を元気にしてやってくれ。新太のやり方は荒っぽい。いきなり良子をサッカーのキーパーに。泣くかと思った良子は意外にもサッカーにチャレンジ。次第に良子の事が好きなる。

新太の両親は良子を家に連れて来る事を拒否。仕出し屋は衛生が1番。病人がいたら信用が無くなる。怒った新太は雨の中を飛び出す。更に盲腸炎で入院。良子は病院や新太の家の周りを毎日歩く。そんな良子をみた新太の母が遂に招き入れてくれた。やがて良子は療養のために岩手へ戻った。そして思いもしない便りが...

■川崎の方が怒らないでしょうか..

当時は公害が深刻な社会問題化。特に臨海部の工業地帯は排煙で空気が汚染。喘息患者が出たりと。本作品でも工場の排煙や薄汚れた街並みをこれでもか、これでもかと。これが全部川崎市の映像なのかどうかは判りません。でもまるで川崎は人間の住むところじゃない!と言っているみたいにも思えます。

それでも子供達は元気。運動場で走り回っている姿にほっとします。撮影が冬だったのでしょうか、服装が野暮ったいのが残念。主役の阿部仁志君はややポッチャリですが、あばれはっちゃくそのもの。最初は悪ガキに見えたのですが、しっかりと目的を持った少年らしい少年。

良子役の鈴木典子さんも一見地味ながら本当に熱演。時代は1974年。男子は「お前よお〜」、「よおよお」などの江戸っ子弁(方言)みたいな垢抜けない雰囲気が残っています。女子の方が都会的な印象でした。

■太陽にほえろ

松田優作さんは仕出し屋で働く青年役。ジーパン刑事そのまま。時おり新太の勉強を見てやるシーンは後年の映画「家族ゲーム」につながっているのかも。もうちょっと主役の新太との絡みがあってもよかったのに。

先生役は地井武男さん。刑事役もいいけれど教師役もなかなか適役でした。惜しくも故人になられました。良子の伯父さん役は下川辰平さん。やはりベテラン刑事っぽい。同じく故人。児童映画にはもったいないキャストだったかもしれません。

本作の冒頭にベオクラード国際児童映画祭グランプリ受賞と大きなテロップが出ます。どんな権威か判りませんけれど「大したもんだ」と思ってしまいますので、いいハク付けなんでしょう。こういう児童映画を今でも作って欲しいなあ..


新太は運動神経抜群だ。
(ちょっと太めだけれど..)
掃除をサボってサッカー。
(かなり悪ガキかも..)
風呂上りでもボールを蹴る。
(タオル1枚でサッカーしなくても..)


席替え。陰気な良子の隣に。
新太は目も合わさない。
先生、席変えてくれよぉ〜
お前を見込んで隣にしたんだ。
強引に良子を引張ってサッカーへ。
意外にサッカー上手いじゃないか..


良子と秘密基地の廃バスの中。
(カラオケ映像に よくある感じ)
松田優作さんの隣で逆立ち。
(はっちゃくそのものですなあ..)
母は良子を家に呼ぶのを拒んだ。
新太は怒って雨の中を飛び出す。


運悪く盲腸炎で入院した新太
(雨に濡れた事と関係ないか)
病室の窓。いつも良子がいる。
最後は母が招き入れてくれた。
良子は空気のいい岩手へ戻った。
数ヶ月後。良子の訃報。新太は..


※後記
関東では川崎が公害の代名詞だったのでしょうか。私の住む関西では、尼崎、西淀川、四日市(三重県)が公害の町という不名誉なイメージでした。今はそんなイメージも払拭され、尼崎なんて関西で住みたい街の上位にランキングされています。






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