CUBE 一度入ったら、最後 (2021年)

少年映画評価 A-
作品総合評価 B-
少年の出番 ほぼ100%(堂々の準主役、いや主役かも)
お薦めポイント オリジナル版と同じ設定。但し女性要素が殆どなし。
映画情報など 2012年公開。BD/DVD発売中。
写真は田代輝君。


オリジナルは1997年カナダ映画『CUBE』。大ヒットして続編も多く作られました。本作は第1作のリメイクですが、主演の菅田将暉さんはじめ人気俳優が出演したのにも関わらず酷評の嵐。それもあり私は全く無関心でした。2022年になってWOWOWで一連のCUBEシリーズが一挙放送。

何の気になしに本作も早送りで鑑賞。そしたらこれは少年映画ではありませんか!中学生役の田代輝君。主演の菅田将暉さんとほぼ対等に演じています。ラストを考えれば少年が主役だったと言っても過言ではありません。世間の評価は低いですが、見てみるものですねぇ。つくづく思いました。

閉じ込められた6人。誰にも気を許さないチハル(右)だが、後藤(左)の横に座った。
それでもまだ大人を信用しないチハル。後藤との間にも空間があった。

後藤(菅田将暉)が目を覚ますと立方体の不思議な部屋の中。他に男(岡田将生)と少年チハル(田代輝)がいた。部屋には6つのドア。その1つから別の男( 斎藤工)が入ってきた。そしてまた別のドアを開けた。行くぞ!男は声をかける。訳の判らないままついていく。やがて中年男(吉田鋼太郎)と女性(杏)も加わるが、誰も状況が判らない。

6人は出口を探して次々と移動するが死に至るトラップの部屋もある。後藤とチハルがドアに書かれた数字から規則性を発見するが、気の立った男たちは仲違いを始める。トラップと仲間割れで3人が死んでいく中で、後藤と女性とチハルは出口を見つけるが、出れたのはチハルだけっだ。


不条理なシチュエーション ムービーの走りであるCUBEシリーズ。多くの方はネタを知っているでしょうけれど、まだ見ていない方でネタバレを気にされる場合は、以下の文章はスルーして下さい。

菅田将暉さん演じる主人公の後藤。彼には自殺した弟がいた。屋上から飛び降りようとする弟の手をつかもうして失敗する、そんな映像が何回もフラッシュバック。他の登場人物も同じような過去のトラウマをかかえているのでしょうが、後藤ほどは描かれません。

中学生の少年チハルもイジメにあって大人が信用できない状態ですが、詳細は描かれていません。この辺りの人物描写の偏りが本作品の低評価につながっているようです。岡田将生さん、 斎藤工さん、吉田鋼太郎さんなど、本来なら主役級の俳優を使いきれていない感は確かにあります。

杏さん演じる紅一点の女性。彼女がヒロインのはずですが、全てが他人事のような態度で、他のメンバーに絡んできません。ネタバレですが、彼女はCUBEの黒幕の一人であり、登場人物を観察する役なのでした。最初から胡散臭い違和感がありましたけれど。

そのため本作は女性が登場しないのと同じ。6人の中で女性1人であれば、若い連中はまだしも、吉田鋼太郎さん演じる中年オヤジならセクハラまがいのチョッカイを出すところ。女性にしたってキャーキャーと不条理な境遇を騒ぎ出すところ。それがありません。(私にはココが良かったのですが)

そのせいか本作で女性の役どころを担当しているのが少年。中年オヤジは少年を見て「子供がいるじゃないか」と近づくも、少年はサッと身体を交わします。さらにドサクサに紛れて少年の肩を抱きますが、少年はウワァーっと叫んで逃げました。まるで女性へのセクハラと同じ。醜い中年オヤジ。

そんな少年が唯一、気を許したのが後藤。ドアに書かれた3つの数字の中に素数があればトラップは無い。そして3つの数字は部屋の座標を示している。そんな事を2人で見つけ出しました。最後、後藤は少年を先に逃して、自分は逃げ遅れて死んでしまった...かに見えました。しかし日本版の続編があるのかもしません。

中学生の少年チハル。誰とも口を聞かない。
イジメに合って、大人が信用出来なかった。
ドサクサで中年オヤジがチハルを抱きしめる。
チハルは逃げた。(吉田鋼太郎さん少し気の毒...)


ドアに書かれた数字の法則性を発見。
後藤とチハルの2人は急速に接近した...
天井のドア。チハルは手を取って貰った。
後藤の頭には、自殺した弟の手がよみがえる...


後藤に対して初めて笑顔をみせるチハル。
ようやく大人への不信感が少しは和らいだか。
出口への道のり。おぼろげながら見えてきた。
(この角度からみるチハル君は凄い美少年)


出口が見えた。隣は杏さん演じる女性。実はCUBEの黒幕だった。

CUBEを出て、現実世界への道を歩くのは、チハル一人だけだった。


※後記
女性出演者が少ないことが本作の低評価の一因かもしれません。ストーリーが全く同じで、チハルが少年ではなく少女であったら、評価は大幅に上がった可能性も。あくまでネットの評価ですけれど。ネットで声が大きいのは少女ファンの男性の方...




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