華火 (2007年)
少年映画評価 |
B+ |
作品総合評価 |
C |
少年の出番 |
90%以上(準主役) |
お薦めポイント |
お金のない下町ロケット映画。 |
映画情報など |
2007年公開。DVD等なし。 写真は田中碧海君。 |
YOSHIMOTO DIRECTOR'S100という企画で、吉本興業の芸人たちが100本の映画を製作。東京神保町など吉本興業が運営する映画館などで上映されたそうです。本作はその1本。2022年に開局したBSよしもと(BS265ch)で放送されたものを鑑賞しました。
とにかくお金がかかっていません(ように見えます)ので、出演俳優の大半は吉本興業の芸人。でも吉本興業の製作する作品には結構少年俳優が登場しますので要注意。これもギャラ節約の一環かもしれませんけれど。本作では懐かしい田中碧海(おうが)君の演技が見れました。
父(西川晃啓)の生まれた町を歩いてみたい。息子(田中碧海)はそう言った。
ここは東大阪にあるカッパの神様の像。(吉本新喜劇の大道具さんが作ったハリボテ?)
自動車会社に勤める中村(西川晃啓)は自分で設計したエンジン開発を進言して拒否され、そのまま会社を退職。そこへ離婚した元妻から息子の望(田中碧海)を預かって欲しいと電話。中村は望を連れて実家の東大阪市へ戻った。祖父(南方英二)は孫の望をみて喜ぶ。祖父はロケットの部品を作った腕のいい技術者で今でも町工場を経営。
望の母(中村の元妻)は再婚する事になり、望はその前に父(中村)に会いたかったのだ。親子ペットボトル・ロケット大会のチラシをみた二人は大会に参加すべくロケット製作に着手。いいロケットが完成したが大会は台風で中止。がっかりする二人。いきなり中村は望と相撲を取る。何度も何度も。そして望は帰って行った。
ネタ的には2004年の『お父さんのバックドロップ』に近いのですが、映画の完成度は比べものになりません。それでもパパドロの神木隆之介君に負けないほど田中碧海君も頑張っていました。チャンバラトリオの故・南方英二さんが祖父役で味を出しているのも同じ。
田中碧海君演じる望は関東在住との設定で標準語。しかしお父さんの事を父上と呼びます。これもチャンバラトリオへのオマージュっぽいものかもしれません。父役の西川晃啓さんはお笑い芸人ですが、本作では監督と主演を務めています。少しセリフがぎこちないのはご愛嬌。
舞台は東大阪市。ここはものづくり中小企業の町。大企業の下請けですが、高精度の部品を高品質で製造する技術力のあるオヤジたちが集まっています。本作では60年代のカッパロケットの部品を製作した事からカッパの神様が祀られていますが、これは事実かどうか疑問です。
またロケ地も東大阪ではなく、東京湾沿岸の町工場街にみえます。大田区とか川崎など。映画では運河に船やレジャーボートが係留されています。東大阪の川といえば恩智川、長瀬川、第二寝屋川など。ここでレジャーボートなんか見たことはありません。あまり突っ込んでも仕方ありませんけれど。
ある日突然、息子がやってくる。これって、息子のいない私にとっては本当に羨ましいシチュエーション。ただし息子は少年に限ります。息子と名乗る中年男が急に現れて、オヤジ金貨してくれ!みたいなのは困ります。
お父さんお世話になります。明るくあいさつ。
元妻から預かってと電話があった直後だった。
父は会社を辞めて実家へ帰るところだった。
息子も一緒についていく。ちょっと心配顔。
実家の寝室。息子は正座して「父上」と呼ぶ。
新しい父は俺よりカッコいいか? うん。顔は。
祖父と父はいつも口喧嘩ばかり。
でも孫にはメロメロ。(南方英二さんが本当にいい)
ペットボトル・ロケットを製作する父と息子。
でも思ったようには飛ばない。どうしてだろう...
祖父がヒントをくれた。さすがは技術者。
これで大会優勝は間違いなし。喜ぶ父と息子。
大会は台風で中止。がっかりする息子に父は相撲を取ろう! 何度投げられても息子は向かっていく。
(大会となればエキストラが大勢必要。そんな予算は無いので、大会中止は予定通り...かな)
※後記
戦後間もない頃のカッパロケットの事は知りませんが、東大阪では「まいど1号」という人工衛星を開発した事は事実です。宇宙技術の町として一時期は話題にもなりました。