ユーパロ谷のドンベーズ (1986年)
少年映画評価 |
B |
作品総合評価 |
B |
少年の出番 |
ほぼ100% |
お薦めポイント |
夕張炭鉱閉鎖で寂しくなる町と少年たち |
映画情報など |
1986年公開。DVD発売中。 写真は主役のノボル少年。 |
学校などで上映された教育映画。2023年になってDVDが発売されました。画質の事は言えませんが、こんな映画をDVD化して頂けるだけで本当に有り難いことです。他の教育映画なども是非ともDVD化を切望します。
前列は左から姉のチカ、弟のノボル(主人公)、ドンベーズ主将?の少年。後は少年の父。
(映画のラスト近く。少年の父がチカとノボルを夕張の町めぐりに連れ出した)
夕張に住む小学3年生のノボル。姉チカと母の3人暮し。父は夕張炭鉱事故で地下にいたまま行方不明。ノボルは学校の野球チーム(ドンベーズ)に入りたくて仕方がない。やっと入れて貰う事が出来た。事故から5ヶ月たって父たちの遺体が上がった。そして夕張炭鉱は閉鎖。人々が夕張を離れて行く。学校でも児童が急減少。
ドンベーズも9人を割ったので女子を入れた。姉のチカはいきなりレギュラー。でもノボルは補欠で大ショック。ユニホームもグローブも無い。メンバーで栗拾いなどをして何とかユニホームとグローブを揃えた。そして試合。補欠だったノボルも最後に代打で出場。こうして夕張の思い出が出来て行く...
炭鉱の大事故から数ヶ月後が舞台ですので、映画に湿っぽさはあまりありません。ノボルもノーテンキに見えます。野球をやりたい。その理由は5000万円。プロに入って契約金を貰うんだ。2000万円で母ちゃんに家を建てて3000万円は貯金。まさしく取らぬ狸の皮算用。
5000万円稼ぐからグローブ買って。でも母ちゃんにはそのお金がありません。炭鉱住宅も出ないといけないし夕張では仕事も見つからず。その夜ノボルの見た夢。父ちゃんがいました。ノボルを神社に連れて行き奉納箱?を指さします。それを開けると新品のグローブが。(なんとなく哀しいなぁ)
学校ではイタズラばかりで明るいノボル。でも父の遺体が見つかって葬儀の日。姉のチカがノボルに言った言葉が心に沁みました。「ノボル泣いたらだめよ。あんたが泣いたら母ちゃんが泣く。母ちゃんが泣いたら私だって...」事故後はノボルも母もチカも泣いてばかりの生活だったのでしょう。
ちょっと湿っぽくなってしまいましたので話題を変えて。小学校の児童が減ってスポーツチームもメンバー不足。そこで野球やサッカーチームに女子を入れる事に。反対する先生もいましたが「今や女子だってマラソンをやる時代よ」なんてセリフが。今では当たり前の事ですけれど。
映画製作は1986年との事ですが、画面がやや暗い事もあって、もっと古い感じかします。でも今みると新鮮な部分もありますので、皆様もDVDでご覧になってみては。
炭鉱事故から5ヶ月。やっと父の遺体が上がった。
学校を早退。ノボルもチカも無言だった。
ドンベーズの後からランニングについていくノボル。
どうしてもチームに入りたかった。
炭鉱閉鎖で人数激減。女子がドンベーズに入部。
体格は男子を圧倒。この年頃は女子の方が成長早い。
チームの(たぶん)キャプテン。イケメンです。
チカと同級生。チカが学級委員長、少年は副委員長。
北海道の短い夏。楽しみにしていたキャンプ。
先生が写真を撮る。卒業アルバムに載せるんだよ。
夕張炭鉱の坑道内に展示施設ができた。
坑夫の厳しい仕事。父たちはこんな場所で...みんな無言。
(おまけ)小学校の男子トイレ。
ずらっと並んだ便器。かつては児童で大混雑。
個室の多さ。これだけあると花子さんも迷っちゃう?
(おまけ)野球大会開会式での鼓笛隊演奏。
当時は男子も多かったのでしょう。
(令和になっても鼓笛隊衣装はそう変わらず)
※後記
児童映画ですが、俳優さんはなかなか豪華です。先生役に当時人気の手塚里美さん。ノボルが夢でみた父役はウルトラセブンの森次晃嗣さん。きっと炭鉱事故でもみんなを助けようとしたヒーローだったのでは。一方で演じた子役さんたちの氏名は全く判りませんでした。